びわ湖ホール オペラへの招待《ドン・ジョヴァンニ》

意欲的な指揮と演出、フレッシュな顔ぶれで織りなすドラマ・ジョコーソ


 手ごろな価格で本格的な舞台を味わえる上、開演前には演出家による解説もあり、「初心者にも気軽に楽しめる」と好評のびわ湖ホールのシリーズ「オペラへの招待」。今回はモーツァルトの傑作《ドン・ジョヴァンニ》全2幕(イタリア語上演、日本語字幕付)を取り上げる。このところ快進撃を続ける園田隆一郎の指揮(レチタティーヴォの通奏低音も受け持つ)も魅力だが、シリーズ初登場となる気鋭の演出家伊香修吾にも注目。オーケストラは大阪交響楽団が起用された。
 イタリア人作家ロレンツォ・ダ・ポンテの台本に基づく同作は、モーツァルトが31歳の1787年、プラハで初演。稀代のプレイボーイの、恋の遍歴と悲惨な末路を劇的に描くドラマ・ジョコーソ(悲喜劇)だ。今回の上演では、タイトルロールに迎肇聡(むかい ただとし)と五島真澄、騎士長に松森治と林隆史、ドンナ・アンナに飯嶋幸子と藤村江李奈ら、びわ湖ホール声楽アンサンブルのメンバーによる、フレッシュな実力派のダブルキャストで臨む。
 「モーツァルトの、いわゆる“4大オペラ”の中で、最も捉えがたく、近寄りがたい印象を受けていたのが《ドン・ジョヴァンニ》。今回、改めて楽譜に向き合い、このオペラの手強さを感じています」と伊香。「この作品には、あえて明確に描かれていない部分もある。それを観客にどれだけ“感じて”もらえるか、挑戦したいと思います」。そして、「多様な楽しみ方が存在する昨今ですが、オペラは劇場空間でこそ、本来の魅力を最大限に発揮できると信じています。目の前で息づく舞台を楽しんでいただければ…」と力を込める。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年9月号より)

2018.9/15(土)、9/16(日) 各日14:00 びわ湖ホール(中)
問:びわ湖ホールチケットセンター077-523-7136 
http://www.biwako-hall.or.jp/