宮本笑里(ヴァイオリン)

トリオで新境地を開拓!

miyamotoemiri TV番組出演など、多彩な活動を展開しているヴァイオリニストの宮本笑里。実は、デビュー5周年だった昨年の秋、急病のため2週間ほどの入院を含む約1ヵ月間の休養を経験した。
「高熱が続き、正直怖かったですね。でも身体が動くようになってからは、楽器に触れないことで逆に大切さがよくわかったというか、弾きたい気持ちがどんどん増してきて。病院では音は出せませんから、指だけのトレーニングをしたりしていました」
5年という節目の年の終わりに、天が与えた休養とリスタートの啓示だったのかもしれない。そして新たな一歩を踏みだした6年目の今年。秋のツアー・タイトルは『トリオ!』。ずばり、ピアノ三重奏の編成で全国5都市を巡る。アンサンブルを組むのは、ピアノの加藤昌則(大阪公演のみ浦壁信二)とチェロの金子鈴太郎。
「学生の頃には少し経験がありますが、実はデビューしてからは、あまり室内楽をやってこなかったので、新しい挑戦です。ピアノ・トリオは、それぞれの楽器がお互いに支え合っていますが、出るべきところではちゃんと出るという、そのバランスの取り具合に独特の魅力があります。金子さんは以前からの音楽仲間で、すごく情熱的な演奏をする方。お世話になっている先輩なのでとても心強いです。加藤さんとは初共演ですが、素敵なピアノを弾く方なので楽しみです。自分にとってもきっと新しい世界が生まれるのではないかと期待しています」
プログラムのメインは、このジャンルの代表曲の一つであるメンデルスゾーンの「ピアノ三重奏曲第1番」。
「高校生の時に聴いた、師匠の堀正文先生の演奏が頭から離れなくて。かっこいい、大好きな曲です。初めて聴くという方にも聴きやすい作品だと思いますし、少しトークも交えて、皆さんと一緒の空間を楽しめるような時間を作れたらいいなと思っています」
他に、発売中のベスト・アルバムの収録曲や映画音楽、そして現在オンエア中のヤマザキナビスコのCMに使用されている彼女作曲の「SOLA」も。
キャスターとしての活動など、枠にとらわれず幅広いフィールドを駆け抜けている。
「経験の一つひとつが自分の身体の中に染み込んでいくことで、ヴァイオリンの音色が少しずつ変化しているのを感じます」
秋のトリオ・ツアーも、彼女の次の新たな変化に豊かな彩りを添えるにちがいない。

取材・文:宮本 明
(ぶらあぼ2013年8月号掲載)

★9月1日(日)・岐阜/明智かえでホール(恵那文化センター0573-25-5121)、14日(土)・紀尾井ホール(エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ03-3408-5458)、16日(月・祝)・名古屋/宗次ホール(052-265-1718)、28日(土)・印西市文化ホール(0476-42-8811)、10月19日(土)・大阪/いずみホール(キョードーインフォメーション06-7732-8888)
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