【CD】芥川也寸志:交響曲第1番、交響三章/鈴木秀美&オーケストラ・ニッポニカ

 日本人作曲家の作品を、有名無名を問わず取り上げ続けてその価値を知らしめるという、無二の独自性と意義深い活動を堅持するオーケストラ・ニッポニカ。当盤は楽団の精神的支柱である芥川也寸志の青年期の傑作2曲。近年は近現代作品でも出色の成果を挙げている鈴木秀美の統率で、ライヴならではの凝縮されたエネルギーに満ちた熱演を実現している。なにより、アマチュアによる音楽活動を重視した芥川の遺志が楽団に息づいていて、その自覚のもと各奏者が重ねた鍛錬の厳しさまで伝わる。そういった覚悟が芥川芸術の理想的な再現に結実する様は圧巻で、襟を正して拝聴したい。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2018年8月号より)

【information】
CD『芥川也寸志:交響曲第1番、交響三章 /鈴木秀美&オーケストラ・ニッポニカ』

芥川也寸志:交響曲第1番、交響三章

鈴木秀美(指揮)
オーケストラ・ニッポニカ

収録:2012年4月、第一生命ホール(ライヴ) 他
オクタヴィア・レコード
OVCL-00660 ¥2500+税