巨匠パブロ・カザルスの高弟として国際的に活躍を続け、昨年で傘寿を迎えた名チェリスト、平井丈一朗。8月28日に東京で開いた記念のステージは、前半で次男・元喜が弾くピアノ、後半では長男・秀明が指揮する特別編成のオーケストラと共演し、思い入れ深い旋律や自作の数々を紡ぎ上げた。“平和に繋がる音楽の創造”に身を捧げ、「芸術家に年齢はない」と精力的に活動を続ける名匠。滋味深く、しかし溌溂とした音色には、そんな音楽家人生への誇りと自信が滲む。録音と映像の両方で、「奏でる喜び」に満ちたステージの全容を、聴衆の息遣いと共に伝える当盤。貴重なドキュメントだ。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年7月号より)
【information】
BD+CD『傘寿記念 平井丈一朗 チェロ演奏会』
ヴィヴァルディ:チェロ・ソナタ第2番/ベートーヴェン:同第3番/ハイドン:チェロ協奏曲第1番/平井丈一朗:祝典序曲、「ローレライ」による幻想曲/カザルス:鳥の歌 他
平井丈一朗(チェロ) 平井秀明(指揮) 平井元喜(ピアノ)
平井丈一朗 ジュビリー・オーケストラ
収録:2017年8月、東京文化会館(ライヴ)
ナミ・レコード
WWCC-7871-3(3枚組/BD+2CD)
¥5000+税