假屋崎省吾と聴く 児玉麻里 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ選集Ⅲ

児玉麻里
C)Vincent Garnier
 ピアニストの児玉麻里が、第一生命ホールで3年間にわたり行う「ベートーヴェン ピアノ・ソナタ選集」。児玉と公私ともに親しく、自らピアノを嗜む華道家の假屋崎省吾をトークゲストに迎え、舞台に飾られた同氏による花の作品とともに演奏を聴くことができる好評のシリーズだ。通常のリサイタルとは一味違った空気がステージを包む。
 最終回となる今回取り上げるのは、ベートーヴェンの最後の3つのソナタ、第30番、第31番、第32番。全3回という限られた回数の公演によせて、一つひとつ個性の異なる32のソナタから演奏曲が選り抜かれてきたわけだが、児玉が“ベートーヴェン再発見の旅”と呼ぶこのシリーズで締めくくりを飾るのはやはり、鍵盤作品による表現の高みに到達した最後の3作品ということになった。
 ピアノ・ソナタ全曲録音に取り組むなど、長らくベートーヴェンに向き合い続けてきた児玉が迫る深い精神世界。そんな特別な作品が演奏される舞台に、どんな花の作品が飾られるのかも楽しみだ。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2018年6月号より)

2018.7/1(日)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
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