【CD】Soli Deo Gloria J.S.バッハ クラヴィア・ユーブング第3部/宮本とも子

 40年にわたって歴史的鍵盤楽器の演奏に取り組む、宮本とも子によるバッハ録音。今回は、宗教改革の約200年後に出版された「クラヴィーア練習曲集第3部」を、フェリス女学院にある、18世紀北ドイツの様式に基づくオルガンで弾く。ルター派の教理を凝縮、ヌメロロジー(数秘学)の網も張り巡らせた当作は、宗教から縁遠い者には難解と捉えられがち。だが、宮本はただ真摯に、祈りのように対峙。レジストレーションもプレイも、決して奇を衒わず、聴く者すべてを優しい表情で招き入れる。それは録音に先立ち、彼女自身が学生たちと共に作品を学び直し、改めて得た新鮮な感動も大きく作用している。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2018年6月号より)

【information】
CD『Soli Deo Gloria J.S.バッハ クラヴィア・ユーブング第3部/宮本とも子』

J.S.バッハ:プレルーディウム オルガノ・プレノのためのBWV552/1、「キリエ、聖霊なる神よ」BWV671、「いと高きところにいます御神にのみ栄光あれ」BWV675-6、「天の王国にいます私たちの父よ」BWV682-3、4つのデュエットBWV802-5 他

宮本とも子(オルガン)

コジマ録音
ALCD-1177, 1178(2枚組) ¥3400+税