【SACD】ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス/鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパン

 まさに「満を持して」の感がある。鈴木雅明&BCJによる、ベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」。“巨大な作品”との先入観を覆す、風通しが良く、繊細な仕上がりだ。かたや、横への流れが抜群で、この作品独特の楽想が交錯しながら色調を変え、畳み掛けてゆく興奮も、ダイレクトに伝わってくる。そして、声楽と器楽が共に音楽的な理想に向かって突き進んでゆく一体感。さらに、バッハなど作曲者にとっての“過去”や、メンデルスゾーンなど“未来”までを想起させる、巧みな音楽創り。ソリストも含め、共に名演を積み重ねて来た仲間だからこそ可能な、新たなベートーヴェン像が描き出された。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年5月号より)

【information】
SACD『ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス/鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパン』

ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス ニ長調

鈴木雅明(指揮)
アン=ヘレン・モーエン(ソプラノ)
ロクサーナ・コンスタンティネスク(アルト)
ジェイムズ・ギルクリスト(テノール)
ベンジャミン・べヴァン(バス)
寺神戸亮(ヴァイオリン独奏)
バッハ・コレギウム・ジャパン

BIS/キングインターナショナル
BIS SA2321 ¥オープン

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