グランドオペラ共同制作《アイーダ》制作発表

 3月6日、グランドオペラ共同制作《アイーダ》の制作発表会が都内で行われた。4つの劇場(札幌文化芸術劇場hitaru、神奈川県民ホール、兵庫県立芸術文化センター、iichiko総合文化センター)と3つの芸術団体(東京二期会、札幌交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団)の計7団体が共同で、ローマ歌劇場との提携のもと、ヴェルディ《アイーダ》(原語上演字幕付)の新制作に取り組む。上演は今年10月より札幌・神奈川・兵庫・大分の4ヵ所と日本を縦断する非常に大規模な公演。チケットは4月15日(日)から兵庫県立芸術文化センター公演を皮切りに順次発売される。
(2018.3/6 都内 Photo:M.Terashi/Tokyo MDE)

 東京フィルハーモニー交響楽団首席指揮者のアンドレア・バッティストーニを指揮に迎え、ロマウリツィオ・ディ・マッティアによる原演出をジュリオ・チャバッティが新演出。歌手には日本を代表する福井敬、清水華澄をはじめ、世界の歌劇場でも活躍するモニカ・ザネッティンやサーニャ・アナスタシアという豪華出演陣で、壮大な舞台を届ける。
 なお、札幌公演は秋に開館する札幌文化芸術劇場hitaruのこけら落とし公演となり、演奏は札幌交響楽団。アンドレア・バッティストーニとは昨年9月、同劇場のプレイベント公演以来の共演となる。神奈川・兵庫・大分の公演は、バッティストーニと厚い信頼関係で結ばれている東京フィルハーモニー交響楽団による演奏。
 以下、登壇者によるコメント。

【畠山茂房/札幌文化芸術劇場hitaru 専務理事】
「日本を縦断する形の公演で、また、劇場のこけら落としとして公演ができることを非常に嬉しく思う。国際都市を目指している札幌にとっても、喜ばしいこと。札幌文化芸術劇場hitaruは多面の舞台をもっています。そのため、北海道では今までなかなかできなかったグランドオペラを紹介することができる。冬は雪や氷に覆われてしまう札幌ですが、札幌駅から地下歩行空間で繋がっているので、雪道を歩かなくても行くことができる、都市型の劇場です。今後とも皆様の協力を得ながら、hitaruを世界の人々に愛される劇場にしたい」

【折原 守/神奈川県民ホール 館長】
「1ヵ月の間に札幌、神奈川、兵庫、大分で公演という、日本全国を縦断する非常にスケールの大きい公演。2019年はラグビーW杯、20年にはオリンピックと日本が賑わうが、今年の秋は日本中をアイーダの嵐にしたい。
 神奈川県民ホールは開館43年目を迎え、6月に大ホールがリニューアルオープン。《アイーダ》はリニューアルオープン後での公演で、非常に目玉となるオペラです。今まで20年以上、オペラ制作に取り組んできたが、唯一、東日本大震災があった11年3月の公演は中止となりました。その公演というのはびわ湖ホールさんとの共同での《アイーダ》。びわ湖ホールさんでの公演が成功を収め、次は当ホールで、との矢先、大震災が発生してしまいました。実は今回の《アイーダ》で出演される清水さんと福井さんはその時と同じ役。指揮者が若き天才バッティストーニさんであり、キャストも日本を代表する方々ばかりなので、県民からとても愛される公演になるのではと感じている。是非、できるだけ多くの方々に観ていただきたいと思う」

【林 伸光/兵庫県立芸術文化センター ゼネラルマネージャー】
「兵庫県立芸術文化センターは05年秋に開館し、毎年7月に佐渡裕さんプロデュースによるオペラを1作、8〜12公演ほど行っている。今年は《魔弾の射手》を予定しています。09年の東京・名古屋との《カルメン》をはじめ、11年は北陸で《椿姫》、15年には東北・四国・九州で《フィガロの結婚》と10年以上、色々な共同・提携公演を行ってきた。今回、ついに北海道まで足がのび、神奈川や大分とも初めての提携ということで公演が非常に楽しみです」

【酒井 宏/iichiko 総合文化センター 副館長】
「九州、しかも大分で共同制作をさせてもらえることは非常に嬉しい。10〜11月に大分では『第33回国民文化祭・おおいた2018』を開催します。そのメインとしてこのグランド・オペラ《アイーダ》を上演するので、とても大きな目玉となっている。iichiko 総合文化センターは今年で開館20年。その節目に《アイーダ》という華やかなオペラはとてもふさわしいし、上演できることを嬉しく思う。ホールの大きさの関係上、九州でオペラができる機会はあまりないので、今後は“大分といえばオペラ”が合言葉になるようにしていきたい」

【山口 毅/東京二期会 事務局長】
「アンドレアとは12年に、二期会創立60周年公演《ナブッコ》を上演しました。その稽古を見学した際、とても素晴らしくて、休憩時間に歌手たちからもこぞって『この指揮者は素晴らしい』と言われました。それくらい、アンドレアは我々にとって衝撃的な指揮者だったのです。前々からアンドレアと《アイーダ》をぜひやりたいなと思っており、いつできるだろうかと思っていたら、今回、まさにこのベストなタイミングで実現できることとなりました。さらに、複数の公演があることはとても嬉しいことであり、それぞれ異なった場所で歌えるということは、歌手たとにとっても非常に良い経験。そして何よりも皆様に観に来ていただく回数を多くすることが大切。オペラ文化の発展においてこれ以上ない大きな機会。これを第一歩として、今後更に大きなことができるのではと思っています」

【石丸恭一/東京フィルハーモニー交響楽団 専務理事】
「共同制作で、大きな公演を開催するということは、各ホールそれぞれに大きな意味合いがある。そして本来は、それぞれの場所にはオーケストラが存在するわけで、演奏もそのようにそれぞれ地方のオーケストラがやるのがいいのではと思うかもしれないが、オペラというのは当然総合芸術ですから音楽の完成度が大切。そのための時間も相当かけなければいけない。様々なオケを同じように練習していくことは難しく、公演スケジュールが非常にタイトなこともあり、神奈川・兵庫・大分の3公演を演奏させていただくことになりました」

【永井 健/札幌交響楽団 専務理事】
「素晴らしい指揮者であるアンドレア・バッティストーニ、キャスト、スタッフで展開されるこの公演の最初を飾れるのはとても嬉しく思う。17年9月、hitaruのプレイベントでバッティストーニさんに指揮をしていただきました。公演後には、『今までの札響にはない、新しいサウンドを引き出していた』との声が多数寄せられました。この秋に開館するhitaruは、札幌駅から地下歩行空間に直結しているので雪道の心配もなく、観光名所でもあるさっぽろテレビ塔や時計台の近くにあるのでオペラやバレエをするにはぴったりの場所。ぜひ今回のようなことを来年以降も続けていきたいし、今後この新しい劇場で、(平日のお昼にコンサートなど)新しい試みができるのではないかと思っています。北海道の方々も楽しみにしてくださっていると思う」

【アンドレア・バッティストーニ/指揮者】
「今回、《アイーダ》を複数公演できることをとてもありがたく思う。そしてこの公演は私の今までの活動の集大成になるのではと思っています。東京フィルは私の日本の家族のようなものですし、二期会のみなさんとはプロフェッショナルとしての仕事はもちろん、友情も育んできた。これまで、企画をする方々も含め本当に意義のある出会いばかり。そういった人々と共に今回も仕事ができるのは本当に嬉しい。公演も成功を収めることができると思う」

(札幌文化芸術劇場hitaruについて)
「劇場がオープンするということは私たちにとって大きなイベント。その新しい劇場のこけら落としに関わることができることはとても嬉しい。建設中に一度視察した際、大変立派なものになるだろうと感じました。札幌市が誇れる劇場になり、札幌市民にとって非常に大きな贈り物になる。街にとって『劇場』とはとても大きな存在であるのです。ただのエンターテイメントの場所ではなく、“文化の神殿”であり、人々の内面を育てて成長させ、お互いをリスペクトするのにとても有意義な場所です。
 さらに、こけら落とし公演として《アイーダ》ほど相応しい演目は他にないと思います。まず、大規模な舞台芸術であること。キャスト・オケも含めたくさんの人々が参加します。特に第2幕は舞台上でいろいろなことが起こる。そしてその豪華で有名な第2幕に比べ、第3・4幕は内面的な要素が強い。人間の内面がとても良く描かれており、大人数と対比されることで『個人』がうまく映し出されています。あの第2幕があるからこそ、それに続く第3・4幕がコントラストとなるのです。このように《アイーダ》はイタリア・オペラにおける特長がよく活かされていますので、オペラを知りたい、もっと身近に触れてみたいという方にはぴったり。今回、美術のセットはローマ歌劇場のものを使用します。イタリアの伝統あるもので、とても色彩豊かであり舞台上の効果もたくさん盛り込まれてます。より本来のあるべき“アイーダ像”になると思う」

(札響について)
「札響とは昨年9月、劇場のプレイベントで初共演し、素晴らしい経験をさせてもらった。私の意見にも柔軟に対応してくれるし、札響は非常にオープンマインド。ほんとうに日本のオケは非常に技術が高い。そしてオーケストラというのは、音色が美しいだけではなく、“何かを物語るような音色”が必要だと思っています。札響ともそういう音色をつくっていきたい。
 リハーサルが始まるのが待ちきれない。みなさんと一緒につくりあげていくのをとても楽しみにしている。観に来てくださる方には、是非偉大なオペラを感じていただければと思います。滅多にない機会ですのでお見逃しなく!」

【福井 敬(テノール/ラダメス役)】
「《アイーダ》はまさに、これぞイタリア・オペラの真髄。歌い手の立場からみるヴェルディのオペラとは、すごく大きなスペクタクル。歴史の背景であったり、人々の地位や欲望であったり…しかしそこにあるのは“人間の愛”、そして“深い真理”だと思います。最後は愛に生きるしかない、そんなことをヴェルディのオペラをやるたびに思います。大きなうねりの中で“愛”がある故、突き進んでいく…これをどう描くか今からとても楽しみです。
 バッティストーニとは、1度共演しています。その時の観客の興奮がものすごくて、会場が興奮の渦と化していました。今回もどんな指揮をしていただけるのか、とても楽しみにしています。
 オペラはつくっている最中が一番楽しいもの。これからはじまるんだという大きい期待でいっぱいです」

【清水華澄(メゾソプラノ/アムネリス役)】
「劇場のこけら落とし公演に関われるということは全く想像をしていなかったことです。北海道に行くのは初めてなので、マエストロと札響がどのような音楽を作り上げていくのか、いちファンとしても、本当にとても楽しみ。東京フィルとは何度も共演を重ねていますので、すでに厚い信頼関係があります。
 東日本大震災の時、私は稽古をしており、揺れた後、テレビの映像をみて自分の無力さを痛感しました。今こうして自分が話したり、歌ったりできることは奇跡だと思っています。公演を観てこの日を向かえられてよかったとお客様に思ってもらえるよう、私達は頑張らないといけない。愛をいっぱい込めて全国の皆さんにお届けしたい」

■グランドオペラ共同制作
ヴェルディ《アイーダ》(原語上演日本語字幕/新制作)

2018.10/7(日)、10/8(月・祝)各日14:00 札幌文化芸術劇場hitaru
(こけら落とし公演)
問:道新プレイガイド011-241-3871
チケット発売:5/6(日)
http://www.sapporo-community-plaza.jp/theater.html

2018.10/20(土)、10/21(日)各日14:00 神奈川県民ホール
問:チケットかながわ0570-015-415
チケット発売:5/12(土)
http://www.kanagawa-kenminhall.com/

2018.10/24(水)18:30 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO 大ホール
問:芸術文化センターチケットオフィス0798-68-0255
チケット発売:4/15(日)
http://www.gcenter-hyogo.jp

2018.10/28(日)13:00 大分/iichiko 総合文化センター iichikoグランシアタ
問:iichiko 総合文化センター097-533-4004 
チケット発売:5/19(土)
http://www.emo.or.jp

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