荘村清志(ギター)

“レジェンド”とゲストが織り成す特別な時間

C)公文健太郎
 現代ギター界を引っ張り続ける荘村清志。昨年3月にシンガーソングライターさだまさしとの共演でスタートしたのが、2019年のデビュー50周年に向けたゴージャスな記念企画「荘村清志スペシャル・プロジェクト」。その第2弾は、ヴァイオリンの古澤巌、アコーディオンのcoba、テノールの錦織健との共演という独創的なコラボレーションだ。
「リスペクトできる人たちだし、相手もこちらをわかってくれている。もちろん素晴らしい音楽を演奏してくれます。私とそれぞれの方とのデュオですが、彼ら3人が一堂に会するのはおそらく今回が初めてでしょう!」
 荘村自身とはそれぞれにつながりの深い3人。
「古澤さんは、クラシックの壁を取り払ってさまざまなジャンルにチャレンジしてきた人。感じ方がより深くなるのだと言っていました。一緒に弾くと、僕を全部受け止めてくれるのですが、それでいてちゃんと自分を主張している。すごい底力だと思います」
 3人の中で唯一、初共演となるのがcobaだが、昨年、一昨年と、Hakuju Hallの「ギター・フェスタ」で、作曲家としての彼にギター曲を委嘱している。今回もギターとアコーディオンのための書き下ろしの新作初演。
「繊細で、感情移入しやすい曲を書く人。どんな曲ができてくるのか、来てのお楽しみ。演奏家としてのcobaさんは、自分の中に詰まっているものを全部舞台でぶちまけるみたいな、ものすごく表現豊かな人ですよね」
 一方、錦織とは十数年来の共演歴がある。
「一緒に地方に演奏に出かけても、歌の方というのもあるのでしょうが、風邪をひかないように部屋にいることが多いのです。本当に歌ひとすじの、ものすごく純粋な人です。歌にかけているのが伝わってきて、いやなところがひとつもない。だから演奏会が終わるといつも、自分まで浄化されたみたいな気がします」
 全4回の「荘村清志スペシャル・プロジェクト」。最終回はデビュー51年目の2020年に予定されている。50周年の先を見据えているのがカッコいい。昨秋、満70歳を迎えた。
「還暦の頃は、70歳ぐらいが限界だろうと思っていました。でも、表現する欲求が湧いてくるうちはやれるという確信はあります。技術より表現。40代の頃までは逆に考えていましたが、表現したいものがあるから、指が動いてくるのです」
 健康の秘訣は週1回のテニスと、歩くこと。身体に悪いところはどこもないという大ベテランは、その意欲と情熱もまだまだ若々しい。
取材・文:宮本 明
(ぶらあぼ2018年5月号より)

荘村清志スペシャル・プロジェクト vol.2 荘村清志 meets coba 古澤巌 錦織健
2018.6/6(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:カジモト・イープラス0570-06-9960 
http://www.kajimotomusic.com/