満を持して放つ、美しき歌と妙技
東響の首席オーボエ奏者・荒絵理子が、ファースト・アルバム『荒 絵理子 オーボエ・ソロ 月の光|こうもり変装曲』(molto fineレーベル 4/25発売予定)をリリースし、記念リサイタルを行う。彼女は、美しい音色で表情豊かに歌う日本屈指の名手。第73回日本音楽コンクールで第1位を獲得後、東響で際立った演奏を続けるだけでなく、ソリストや多数の楽団の奏者として活躍し、2009年度出光音楽賞も受賞している。
「オペラ、ファンタジー、オリジナル」がコンセプトのCDも、持ち前の絶妙な抑揚を生かした魅力作。まずは「月の光」で全体のムードを暗示し、カリヴォダ、シューマン、ドニゼッティのオリジナル曲で楽器の妙味を聴かせる。そして「大好き」と語るオペラ作品。《ルサルカ》の〈月に寄せる歌〉を切なく奏で、ハイライトでは、リサイタルでもピアノを務める山洞智の委嘱編曲「こうもり変装曲」に至る。
「こうもり〜」は「小澤征爾音楽塾で虜になった思い入れの強い曲」で、〈シャンパンの歌〉を皮切りにおなじみの旋律が続々登場する当編曲は実に愉しい。すべてが生でも聴きたいものばかり。その類い稀な手腕を、録音&公演の両面で堪能しよう!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2018年5月号より)
2018.5/10(木)19:00
サントリーホール ブルーローズ(小)
問:クレオム03-6804-6526