マエストロ4年目のシーズン開幕は独創的なプログラムで
2015年4月に常任指揮者に就任した高関健の任期が21年3月まで延長され、着実に進化を続けている東京シティ・フィル。高関は2月の記者会見で「3年間、オーケストラが真面目に取り組み、実力を蓄積できました。より発展できるでしょう」と語った。そしてレパートリーについては「東京シティ・フィルが演奏していない曲を取り上げたい」と述べた。
18年度シーズン定期のオープニングを飾る5月の演奏会でも高関らしい凝ったプログラムが披露される。まず、ムソルグスキーの「はげ山の一夜」は、慣用的なリムスキー=コルサコフ版ではなく、原典版を使用。ムソルグスキーのオリジナルのワイルドなテイストが蘇る。そして、ニールセンの交響曲第6番「素朴な交響曲」が取り上げられる。ニールセンは、フィンランドのシベリウスと同じ年に生まれたデンマークの作曲家。二人は北欧を代表するシンフォニスト(交響曲作曲家)。1925年に完成された交響曲第6番「素朴な交響曲」はニールセンの最後の交響曲にあたる。軽快でモダンでどこかユーモラスな作品。打楽器や管楽器の使い方も面白く、実際の演奏会で楽しみたい。最後は、清水和音の独奏でラフマニノフのピアノ協奏曲第3番が演奏される。ロマンティックなピアノ協奏曲を代表する大作。定期演奏会のメインとして演奏されるだけに、百戦錬磨の清水のヴィルトゥオジティ(名人芸)とともに、オーケストラの活躍にも期待したい。
文:山田治生
(ぶらあぼ2018年5月号より)
第315回 定期演奏会
2018.5/9(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002
http://www.cityphil.jp/