アメリカの名曲から藤倉大まで多彩な内容を満喫
「芸劇ウインド・オーケストラ・アカデミー」は、東京芸術劇場によって2014年に始められた、プロフェッショナルな若手音楽家育成のためのプログラムである。アカデミーのメンバーは、東京佼成ウインドオーケストラ団員の指導を受けたり、共演の機会を与えられるほか、キャリアアップの講座で学ぶこともできる。そして年度の締め括りに演奏会をひらく。
第4回演奏会では、アメリカをベースに活躍するシズオ・Z・クワハラが指揮を執り、アメリカンなプログラムが披露される。演奏には、芸劇ウインド・オーケストラ・アカデミーのほかに、東京佼成ウインドオーケストラも加わる。まずは、ウィリアム・シューマンの「ジョージ・ワシントン・ブリッジ」。ニューヨーク生まれのシューマンが、マンハッタンとニュージャージーをつなぐジョージ・ワシントン・ブリッジを描いた吹奏楽の名曲である。次の「中世の旋律による変奏曲」を書いたデロ=ジョイオもニューヨーク生まれ。吹奏楽のジャンルに名作を残している。そして、20世紀アメリカを代表する作曲家、バーバーの交響曲第1番を、デューカー編曲による吹奏楽版で聴く。最後は、バーンスタインの『ウエスト・サイド・ストーリー』より「シンフォニック・ダンス」で、作曲者の生誕100年を祝う。そのほか、ノルウェー出身の名手、エイステイン・ボーツヴィックが独奏を務める、藤倉大のテューバ協奏曲の世界初演も楽しみだ。
文:山田治生
(ぶらあぼ2018年3月号より)
2018.3/3(土)15:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296
http://www.geigeki.jp/