新年の幕開けはワルツ尽くし!
新日本フィルの1月の「トパーズ」では、音楽監督上岡敏之による一味違ったニューイヤー・プログラムが用意される。シュトラウス・ファミリーのウィンナ・ワルツやポルカを、ラヴェルの2曲のワルツ「高雅で感傷的なワルツ」と「ラ・ヴァルス」で挟んだという選曲の妙が魅力だ。
ラヴェルが「高雅で感傷的なワルツ」を着想したのは、ウィンナ・ワルツというよりはさらに遡ってシューベルトの音楽からだったというが、ここにウィーンへの追憶のニュアンスを聴きとることは可能だろう。一方、「ラ・ヴァルス」は直接的にシュトラウスのウィンナ・ワルツと結びつく作品だ。巨大なダンスホールでワルツを優雅に踊る人々を幻想的に描写しながらも、不穏な気配を漂わせ、最後は一大カタストロフが訪れるという、ウィンナ・ワルツへのオマージュあるいはパロディのような機知に富んだ傑作である。あでやかなオーケストレーションも聴きどころ。
本家シュトラウス・ファミリーからはポルカ・シュネル「狩り」、《騎士パズマン》からのチャルダッシュ、ワルツ「加速度」、新ピッツィカート・ポルカ、ワルツ「北海の絵」他が演奏される。さて、上岡節のウィンナ・ワルツとは。興味津々。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2018年1月号より)
第582回 定期演奏会 トパーズ〈トリフォニー・シリーズ〉
2018.1/12(金)19:00、1/13(土)14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815
http://www.njp.or.jp/