ヴィオラとピアノで“歌う”ドイツ・リートの世界
「いま一番聴いてほしい演奏家」の名演を、休憩なしの1時間にぐっと凝縮して楽しむシリーズ『ワンダフル one アワー』。今回は世界的ヴィオラ奏者の川本嘉子と、神経内科医でもあるピアニストの上杉春雄が、シューマンとブラームスの「詩」と「歌」の世界へと聴衆を誘う。
1992年にジュネーヴ国際コンクール・ヴィオラ部門で最高位となり、日本を代表するヴィオラ奏者の1人として国際的に活躍する川本。そして、上杉は数々の登竜門で実績を重ね、四半世紀にわたって第一線のピアニストとして活躍する一方、札幌山の上病院院長を務めるなど、医療現場にも身を置く。
今回、異色のデュオが奏でるのは、シューマン「詩人の恋」とブラームス「4つの厳粛な歌」。どちらもドイツ・リートの傑作で、本来は「歌詞=詩」を伴って歌われる。そんな2つの作品が器楽作品として奏でられた時、そこに存在しないはずの「詩」が、音楽によって呼び覚まされるのではないか。たった2人による、たった1時間の、しかし、壮大な試みである。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2017年11月号より)
2017.12/8(金)15:00 19:30 Hakuju Hall
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700
http://www.hakujuhall.jp/