世界的名手が集結する室内楽の祭典
初冬を迎えた港町に、“銀花の音色”が響きわたる。ウィーン・フィルのメンバーとして活躍する気鋭のチェリスト、ヘーデンボルク・直樹を音楽顧問に迎え、2006年にスタートした「神戸国際芸術祭」は、今やミナト神戸の風物詩の一つとして定着。11回目の今年も、ヘーデンボルク率いるピアノ四重奏団「アンサンブル・ラロ」をはじめ、世界的な名手たちが結集、ここでしか聴けない“名曲の花束”を届けてくれる。
芸術祭のメインは、「アンサンブル・ラロ」と神戸市室内合奏団が共演するステージ(12/10)。プログラムは、時に社会性も孕みつつ、独創的なサウンドを構築する現代ラトビアの鬼才ペトリス・ヴァスクス(1946〜)の作品が核に。「ラロ」のピアニスト、ダイアナ・ケトラーを中心に、弦楽合奏との「沈黙の果実」や「夏の夕暮れの音楽」(ピアノ・ソロ)の響きの世界を味わう。さらに、日本センチュリー響首席チェリストの北口大輔らを交えたエネスコ「弦楽八重奏曲」や、「ラロ」のヴァイオリニスト、アレクサンダー・シトコヴェツキーとヴィオリストのラズヴァン・ポポヴィッチをソロにモーツァルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」も披露される。
また、北口や国際的ヴァイオリニストの川田知子が、「ラロ」のメンバーと共に、ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」(弦楽五重奏版)ほか傑作を披露する『ベートーヴェンからの贈り物』(12/8)や、「ラロ」がヴァスクスとブラームスの佳品を紡ぐ『至極のピアノ四重奏』(12/9)の両ステージも。折しも神戸開港150年の節目だけに、例年以上の名演が期待できよう。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2017年11月号より)
ベートーヴェンからの贈り物
2017.12/8(金)14:00 神戸市立北神区民センター ありまホール
至極のピアノ四重奏
2017.12/9(土)15:00 シーサイドホテル舞子ビラ神戸 あじさいホール
アンサンブル・ラロ with 神戸市室内合奏団
2017.12/10(日)15:00 神戸文化ホール(中)
問:神戸市民文化振興財団078-361-7241
http://www.kobe-bunka.jp/new/kobemusicfestival2017/