勅使川原三郎にフランス芸術文化勲章「オフィシエ」

 振付家・ダンサーの勅使川原三郎が、フランス文化省よりフランス芸術文化勲章「オフィシエ」を受章した。8月24日、東京芸術劇場で上演された新作『月に吠える』初日終演後、舞台上で叙勲伝達式が行われ、フランス大使館のピエール・コリオ文化参事官より勲章が授与された。
(2017.8/24 東京芸術劇場プレイハウス Photo:J.Otsuka/Tokyo MDE)

ピエール・コリオ文化参事官(左)より勲章を授与される勅使川原三郎(右)

 勅使川原はクラシックバレエを学んだ後、1981年に創作活動を開始、85年に宮田佳と共に「KARAS」を結成。舞台美術や照明、衣裳、音楽構成などを自らが手掛け、既存の枠にとらわれない作品を生み出してきた。また、国内のみならず欧米他、諸外国の主要なフェスティバルおよび劇場の招きにより多数の公演を行い、自身のソロ作品、KARASとのグループ作品創作の他、展覧会や映像の分野における現代アート、パリ・オペラ座バレエ団などヨーロッパの一流バレエ団からの依頼で作品を創作。今年10月にはエサ=ペッカ・サロネンの「ヴァイオリン協奏曲」(演奏:諏訪内晶子)によるパリ・オペラ座バレエ団への3度目の振付となる新作が上演される(装置・衣裳・照明も勅使川原が担当)。 

 芸術文化勲章は1957年に創設され、芸術や文学の分野において卓越した創作を行った者、フランス国内外で芸術や文化の発展に著しく貢献した者に授与される。今回のオフィシエ授章は、勅使川原のこれまでの経歴や創作活動、教育プロジェクトや後進の指導、独自の創作スペース東京・荻窪「アパラタス」での活動、パリ・オペラ座バレエ団等への振付といった「フランスと紡いできた特別な関係」を評価してのもの。

授章理由を話すピエール・コリオ文化参事官(左)

 コリオ文化参事官は授章理由として、「動きの中の迷いや探求、発明、リスクや危険に重きを置くあなたの振付は、世界中にファンを作った。あなたが創ったダンスカンパニーはヨーロッパ、アジア、アメリカやオセアニアに定期的に招聘されており、これはあなたの仕事のヒューマニズムと普遍性を物語っている。照明デザインや衣裳、舞台美術などに対するそのこだわりが、作品一つひとつのオリジナリティーを高くしている」こと等を挙げ、さらに「本作『月に吠える』においてもそれらを自ら手掛け、既存の枠にとらわれないアーティストとして舞台にのぞんでいる。『新しい作品は初めての作品である』と語るあなたは、常にイマジネーションとサプライズを用意している」との賛辞を贈った。

喜びを語る勅使川原三郎

勅使川原三郎(右)とピエール・コリオ文化参事官(左)

 勅使川原は「この勲章の価値はまだ正直よくわかっていませんが、いただけることは嬉しい。みなさんがニコニコしているので、きっとよいことなのだと思います。今日も会場に来てくださったクラシックバレエの師匠である雑賀淑子先生に御礼を言いたい。私はとても悪い生徒でいつも辞める辞めたいと言っていたが、先生が止めてくださらなかったら50年近くダンスをやることはなかった。いま幸せを感じています」と喜びを語った。

 『月に吠える』の上演は東京芸術劇場プレイハウスで8月27日(日)まで。

【公演情報】
萩原朔太郎『月に吠える』刊行100年記念
勅使川原三郎『月に吠える』

2017.8/24(木)19:30、8/25(金)19:30、8/26(土)16:00、8/27(日)16:00
東京芸術劇場 プレイハウス

振付・美術・照明・衣装・選曲・出演:勅使川原三郎
出演:佐東利穂子 鰐川枝里 マリア・キアラ・メツァトリ
   パスカル・マーティ(イエテボリ・オペラ・ダンスカンパニー)
問:KARAS 03-5858-8189
http://www.st-karas.com/
http://www.geigeki.jp/performance/theater155/

  • La Valseの最新記事もチェック

    • 美少年と貴婦人、その甘く苦い関係 | 萌えオペラ 第4回 リヒャルト・シュトラウス《ばらの騎士》
      on 2019/09/20 at 23:30

      text:室田尚子 illustration:桃雪琴梨 前回ご紹介したズボン役の代表であるモーツァルト《フィガロの結婚》のケルビーノ。彼が誕生してから100年以上を経て、オペラ史に名を残すもうひとりのズボン役が登場します。その名はロフラーノ伯爵オクタヴィアン。18世紀マリア・テレジア治世下のウィーンを舞台にしたリヒャルト・シュトラウスの《ばらの騎士》のタイトルロールです。年齢は17歳。若くして爵位 [&#8230 […]