ガスパール・ドゥエンヌ(ピアノ)

ヨーロッパで話題の逸材がいよいよ来日!

C)Laurent Bugnet
 フランスが生んだ新星ガスパール・ドゥエンヌが初来日する。1987年生まれ、5歳でピアノを始めたドゥエンヌの母親は、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭などを通じて広い層から人気を集めるピアニスト、アンヌ・ケフェレックである。ドゥエンヌはパリ国立高等音楽院、ザルツブルク・モーツァルテウムで名教師のもと研鑽を積み、アラン・マリナロ国際コンクール優勝を含む多数のコンクール歴を持つ。すでにフランス国内の数々の音楽祭から引っ張りだこの彼は、室内楽のアンサンブルにも力を注ぐ音楽家だ。ヨーロッパの国々はもとより、モロッコ、ニューカレドニア、中国でもその演奏を披露してきた。
 日本初のリサイタルで彼が聴かせるプログラムは、ソロ・デビュー・アルバム『ファンタジー』(仏・1001NOTESレーベル)のリリースを記念して、J.S.バッハ(BWV903)、ハイドン(Hob.ⅩⅦ-4)、シューマン(op.17)、スクリャービン(op.28)の幻想曲を並べる。古くはルネサンス時代の鍵盤音楽にその歴史をさかのぼる「ファンタジー」とは、もとは即興を含む高度で巧みな作曲技法を指す言葉であった。時代とともに作曲家たちの自由な発想が盛り込まれていくこのジャンルの変遷を、ドゥエンヌはバッハからスクリャービンまで、クリアなタッチと生き生きとしたリズムで鮮やかに聴かせる。リサイタルでは、CDに収められていないリストの「スペイン狂詩曲」も演奏予定で、その華麗なるピアニズムへの期待も高まる。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2017年8月号より)

2017.9/8(金)19:00 王子ホール
問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831
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