マルタン・ズィメルマン『ハロー』

ミステリアスで笑える不思議な世界

Photo:Augustin Rebetez

 いま世界の舞台芸術で最もアツい現代サーカスの雄、それがズィメルマン エ ド・ペロである。これまでも4つの部屋がグルグルと回転する『ハンスはハイリ』などで来日上演してきた。本作はそのメインメンバーの一人、マルタン・ズィメルマンの初ソロ作品である。
 ズィメルマンは妙にヒョロ長い手足で歩き回る、その姿だけで面白い。舞台上には「部屋のような空間」があるのだが、じつは外枠しかないのである。しかも徐々に傾いていってパタンと倒れて畳まれてしまう。そしてまたゆっくりと戻る、を繰り返す。安住の場所だと思った部屋/世界がなくなって、暗い中にただ独り残されるズィメルマン。ハラハラさせながら、どこか詩的な情景が展開していく。
 タイトルの『ハロー』は不思議な言葉で、目の前に人がいれば「こんにちは」という挨拶になり、いなければ「誰かいる?」という呼びかけになる。笑いながらも深く感情が揺さぶられる、そんな作品である。
文:乗越たかお
(ぶらあぼ 2017年7月号から)

7/29(土)17:00、7/30(日)14:00 東京芸術劇場プレイハウス
問:東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 
http://www.geigeki.jp/
他公演
7/26(水)まつもと市民芸術館(小)(0263-33-3800)

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