第460回 日経ミューズサロン シプリアン・カツァリス(ピアノ)

28回目の来日でオール・シューベルト・プロが実現

©Carole Bellaïche
 60代半ばを迎えた今もなお、エネルギッシュで意欲的な活動を続ける天才肌のピアニスト、シプリアン・カツァリス。1986年の初来日から回を重ね、28回目の日本訪問となるという今回は、「日経ミューズサロン」に出演し、オール・シューベルト・プログラムを演奏する。
 彼にとってシューベルトは大切なレパートリー。とくに今回の演目の一つである最後のピアノ・ソナタ第21番D960は、若き日から現在まで繰り返し演奏しているもの。作曲家最晩年の作品に寄せるカツァリスの思い入れは大きい。
 カツァリスといえば、ベートーヴェンの交響曲ピアノ独奏版全曲録音によって音楽界で評価を高め、“鍵盤の魔術師”の異名をとることでも知られる。それだけに、ピアノ一台からオーケストラに匹敵するさまざまな色や表情の音を引き出す才に長けている。穏やかな対話が繰り返され、ときに心の内を吐露するようなシューベルト最後のソナタでも、その豊かな表現力が存分に発揮されることだろう。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ 2017年5月号から)

5/9(火)18:30 日経ホール
問:日経ミューズサロン事務局03-3943-7066
http://www.nikkei-hall.com/