ニルス・メンケマイヤー(ヴィオラ)

ヴィオラ界の新星による“一夜限り”のリサイタル

©Irene Zandel

 ヴィオラに新たな地平をもたらすのは、彼かもしれない。ニルス・メンケマイヤーは、2006年にユーリ・バシュメット国際とドイツ音楽、両コンクールを制し、各国の第一線楽団と共演する俊英ヴィオリスト。注目の来日リサイタルでは、バロックから現代に至る多彩なレパートリーを披露する。
 ドイツ・ブレーメンの出身。ミュンヘン音楽・演劇大学に学び、登竜門での実績を得た後に、ドレスデン・カール・マリア・フォン・ウェーバー音大教授、マドリッドのソフィア王妃高等音楽院准教授を経て、ミュンヘン音大教授に就任した。現在はオーケストラとの共演のほか、室内楽の分野でも活躍している。
 また、これまでに数枚のアルバムを発表、いずれも高い評価を得ている。また、18世紀イタリアで活躍したジュゼッペ・カヴァレーリのヴィオラ作品を、手稿譜から蘇演したことも話題になった。今春にはリューゲン春の音楽祭の音楽監督のほか、ハイデルベルク・フィルのアーティスト・イン・レジデンスも務めている。
 ステージ前半は無伴奏。バッハの無伴奏チェロ組曲第5番と、本来はヴィオールのためのサント=コロンブ「哀しみの墓」から「涙」と、まずはバロックを。さらに、「J.S.バッハへのオマージュ」の副題が冠された、ギリシャ出身の女性作曲家コンスタンティア・グルズィによる「新しい世界のための9つの子守り歌」(2012)を演奏する。
 そして、後半は、ピアノの松本和将と共演。シューマン「おとぎの絵本」とヒンデミット「ヴィオラとピアノのためのソナタ」を弾く。まさに、ヴィオラの「過去・現在・未来」を駆け抜けるプログラム。
 俊英が新たな響きの世界への扉を開け放つ瞬間を、ぜひ見届けたい。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2017年5月号から)

6/8(木)19:00 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
問:渋谷区文化総合センター大和田ホール事務室03-3464-3252
※18:15より渡部玄一(チェロ)、中村翔太郎(ヴィオラ)、松本和将(ピアノ)が出演するプレトーク有。
http://www.shibu-cul.jp/