英国音楽ファン垂涎の好企画
マーティン・ブラビンズが東京都交響楽団の指揮台に登場すると、美しく良質なイギリス音楽が聴ける!…ということは声を大にして主張したい。
20世紀初頭の変革するロンドンをテーマに描いた「ロンドン交響曲(交響曲第2番)」(約100年前の曲であるのに、現代の英国社会にも通じる作品)。極地探検において人間が未知の大自然に挑戦するものの、抗えない現実を突きつけられる壮大なドラマ「南極交響曲」。ヴォーン・ウィリアムズが残したこの2作品は、イギリス音楽の金字塔であると同時に、20世紀という時代と社会の一面を切り取った記録でもある。
東京でもなかなか聴くチャンスがない2曲だけに、すでに魅了されている方はもちろんだが、「ヴォーン・ウィリアムズ」「イギリス音楽」と大書された“扉”の前で足を踏み出そうとしている方には、ぜひとも聴いていただきたい2回の定期演奏会(5/16,5/21)だ。
さらに同じ演奏会で演奏されるのは、泰然自若の精神をそのまま音楽に煎じ詰めたようなエルガーのヴァイオリン協奏曲(5/21)と、「ロンドン交響曲」の誕生を支えたバターワースの可憐な音詩(5/16)、ブリテンの後継者として理知的な作品を残したティペットのピアノ協奏曲(ピアノ:スティーヴン・オズボーン)だ(5/16)。三浦文彰による力強さと緊張感が交錯するエルガーほか、ソリスト陣も適任だといえるだろう。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ 2017年5月号から)
第831回定期演奏会Bシリーズ
5/16(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
第832回定期演奏会Cシリーズ
5/21(日)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:都響ガイド03-3822-0727
http://www.tmso.or.jp/