ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲全曲演奏会 2014-2018 古典四重奏団 ショスタコーヴィチの自画像 Ⅳ 1968年まで

後期作品の深奥に分け入る

©F.Fujimoto

深い解釈と鮮烈な演奏で第一線を走る古典四重奏団が進める「ショスタコーヴィチの自画像」シリーズ。交響曲とならぶ作曲者最大の遺産である15の弦楽四重奏曲に、2014年から毎年番号順に3曲ずつ取り組み続け、4回目の今年からいよいよ二桁番号に到達する。
キャラクターの異なる4つの楽章のバランスが絶妙で完成度の高い第10番、思わせぶりな7つの小曲が続くひねりの利いた第11番、2楽章構成ながら30分近い大作で思索と狂乱が交錯する第12番。3曲ともフラット系の調性をもち、弦楽器特有の抒情的な響きが全体を覆うなか、調号なしの第10番第2・第3楽章の効果はインパクト十分で、圧倒的な音響で激烈な前者、切ない旋律とハーモニーが胸に迫る後者、その対比も含めて注目だ。第11番のユーモアとシリアスの混淆は独特だし、12音による冒頭の旋律からシンフォニックな熱狂に到達する第12番も聴きどころ多数。円熟の古典四重奏団の案内で、ショスタコーヴィチ後期作品の深奥に分け入っていく。
文:林 昌英
(ぶらあぼ 2017年3月号から)

3/18(土)14:30、6/20(火)19:15* 近江楽堂(東京オペラシティ3F) *4/4(火)発売
問:ビーフラット・ミュージックプロデュース03-6908-8977
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