俊英指揮者と鬼才ピアニストが織りなすロマン派の傑作
変幻自在なプレイで世界中の聴衆を魅了する、クロアチア出身のピアノの鬼才ケマル・ゲキチ。広島交響楽団の2月定期演奏会にソリストとして登場し、クレメンス・シュルト指揮で、リストの傑作・ピアノ協奏曲第1番に対峙する。
ユーゴスラヴィアのノヴィ・サド音楽院に学び、史上最高得点でディプロマを取得。リスト国際ピアノコンクールで第2位となるなど、難関登竜門で次々に実績を重ねるも、世間の評価は真っぷたつに。特に、85年のショパン国際コンクールの際、彼の本選進出がならなかったことに反発した審査員が次々に辞退する騒ぎとなった出来事は、これを象徴的に裏付ける。
指揮者のシュルトは、2016年にミュンヘン室内管弦楽団の首席指揮者に就任したドイツ楽壇期待の俊英。さらに、精鋭集団・広響とリストの傑作が相まっての“化学反応”の結果は、きっと凄いはず。そして、併演のシューマンの交響曲第1番「春」、メンデルスゾーンの序曲「美しいメルジーネの物語」と共に、コンサートのタイトル通りの「ロマンの謳歌」(チラシより)が堪能できよう。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2017年2月号から)
第367回 定期演奏会
2/26(日)15:00 広島文化学園HBGホール
問:広響事務局082-532-3080
http://hirokyo.or.jp/