大御所同士“一対一”の濃密な共演
振付家・ダンサーの笠井叡と作曲家・ピアニストの高橋悠治は2006年から『透明迷宮』と題したシリーズで共演している。07年にはバッハの「フーガの技法」を笠井のソロ、群舞、オイリュトミーの3つのバージョンで上演し話題を呼んだ。
今回は構成・演出を笠井が手がけ、出演は笠井と高橋。ダンスとピアノの一対一での濃密な共演を存分に堪能できそうなのが嬉しい。笠井は即興で踊っても人に振り付けても音楽との一体感を大切にし、高橋とのライヴ感あふれる舞台では水を得た魚のように生き生きとしている。今年2月の独舞『冬の旅』(音楽:シューベルト)において自在で奥の深いダンスを披露するなど、ここに来てさらに大きな波に乗っている感がある。大御所にして旬な存在であるだけにダンスファンはもとより多くの方にお薦めしたい。
長きにわたって時代に対する鋭い感覚を持って走り続ける笠井と高橋。両者の化学反応に問答無用で引きこまれるはずだ。
文:高橋森彦
(ぶらあぼ 2016年9月号から)
10/27(木)、10/28(金)各日19:30 国分寺市立いずみホール
問:天使館043-316-3508
http://www.akirakasai.com