彩の国さいたま芸術劇場 ピアノ・エトワール・シリーズ vol.29 田村 響 ピアノ・リサイタル

挑み続ける俊英の冴え渡るピアニズム

©武藤 章
©武藤 章
 全国各地でのコンサート出演に加え、現在は京都市立芸大専任講師として後進の指導にもあたる田村響。29歳の彼が、29回目を迎えるピアノ・エトワール・シリーズ(彩の国さいたま芸術劇場)に登場する。20歳でロン・ティボー国際コンクールを制してから9年。多忙なスケジュールと周囲からの期待に萎縮した時期もあったという。だが、ザルツブルクでの研鑽を終え、日本での学位取得や関西を拠点とした新たな活動を始め、自らの視野を広げようと常に挑戦を続けてきた。
 そんな田村が今、向き合おうと選んだプログラムはベートーヴェンとショパン。前半のベートーヴェンは「悲愴」と「ワルトシュタイン」という同主調(ハ短調とハ長調)のソナタだ。暗から明へという物語を意図したという。後半のショパンは、4つのスケルツォを全曲披露する。第3番と第4番は、田村にとって初挑戦の曲目だ。迷い、挑み、エネルギーを放つ田村のピアノが冴え渡るステージとなりそうだ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ 2016年8月号から)

9/11(日)15:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
問:彩の国さいたま芸術劇場0570-064-939
http://www.saf.or.jp/arthall