白石光隆(ピアノ)

個性的なプログラムで魅せる独自の世界

©岩切 等
©岩切 等

 圧倒的なリズム感と構築性、細部まで磨き抜かれた美音を武器に、独自の響きの宇宙を現出し、聴衆を魅了し続けるピアノの白石光隆。東京芸大・同大学院を経てジュリアード音楽院に学び、1992年に帰国後は、幅広いレパートリーを繊細かつ大胆に弾きこなす実力派奏者として活躍を続けている。その一方、母校の東京芸大で指導にあたるなど、後進の育成にも尽力。また、ソリストとしてのみならず、室内楽や協奏曲の演奏においても卓越した能力を発揮し、共演者からの信頼も厚いが、94年には第63回日本音楽コンクールで優れた日本歌曲演奏に贈られる木下賞(共演)を受賞するなど、声楽伴奏の名手としても知られる。
 シリーズ第29回となるリサイタルは、陽光に溢れたバッハのイタリア協奏曲と、シューベルト最後のピアノ・ソナタとなる第21番を大枠に。ここへ、ショパンの子守歌とポロネーズ第5番、コダーイの「ハーリ・ヤーノシュ組曲」を挟み込む。白石の深遠な音楽世界を物語る、個性的なラインナップだ。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2016年8月号から)

白石光隆 ピアノリサイタル Vol.29
9/7(水)19:00 東京文化会館(小)
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
http://www.proarte.co.jp
他公演 9/11(日)藤枝市民会館(054-643-3931)