身体とピアノ演奏が絶妙に絡みあう空間
2000年代初めに舞踊家・振付家として頭角を現した黒田育世は、激しくも純粋な、祈りにも似た鮮烈な踊りによって一世を風靡しダンスシーンを牽引してきた。近年は主宰するカンパニー「BATIK」だけでなく演劇やミュージカルの振付など個人での活動も広がり活躍を続ける。
今夏発表する新作は音楽家の鈴木優人とのコラボレーションだ。鈴木は音楽ファンおなじみバッハ・コレギウム・ジャパンの中心メンバーであり指揮者・作曲家でもある。11年に黒田と共演しているが、その際はチェンバロでジャン=フィリップ・ラモーの曲を小気味よく弾いた。今回はピアニストとして登場し、黒田と少女(関なみこ)の踊りにあわせて、黒田との協同作業を重ねる松本じろによる原曲を奏でる。
会場は東京・代々木上原にある瀟洒なたたずまいの音楽ホールで、演者の息づかいまでもが伝わる。黒田のピュアな感性に満ちたダンスと鈴木の繊細なピアノが折り重なって生み出される至福のひと時に立ち会いたい。
文:高橋森彦
(ぶらあぼ 2016年8月号から)
8/16(火)19:00、8/17(水)14:00 18:00 ムジカーザ
問:ハイウッド03-3320-7217