今年も松本が世界トップレベルの音楽で満たされる!
『サイトウ・キネン・フェスティバル松本』から『セイジ・オザワ 松本フェスティバル』(OMF)に名称を変更してから2回目の開催となる今年、総監督・小澤征爾がサイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)を相手に指揮するのは、ブラームスの交響曲第4番。昨年、OMFで指揮する予定であったが、体調不良のため変更になった曲目。SKOとは1989年のヨーロッパ・ツアーで取り上げて、CD録音しているものの、松本では初披露となる(オーケストラ コンサート Aプログラム 8/18,8/22)。小澤の円熟を聴くのにこれ以上の曲はないであろう。演奏会前半は、ファビオ・ルイージがオネゲルの交響曲第3番「典礼風」を振る。メトロポリタン歌劇場首席指揮者やチューリヒ歌劇場音楽総監督を務めるルイージは、3年連続のOMF登場。SKOのメンバーからの信頼も厚く、今年は、Bプログラムのマーラーの交響曲第2番「復活」も手掛ける(8/19,8/21)。
今年のオペラ公演は、小澤征爾音楽塾オーケストラがピットに入るラヴェルの《子どもと魔法》(9/6,9/9)。松本の《子どもと魔法》といえば、2013年に小澤征爾が指揮した公演のCDがグラミー賞を獲得したことでも知られる。今回も当初は小澤が指揮する予定であったが、体調面の配慮から小澤に代わって、エリック・ミーリアが指揮することになった。マリー・ルノルマン、アナ・クリスティ、ジャン=ポール・フーシェクールら外国人歌手も参加。演出はデイヴィッド・ニース(2013年とは別のプロダクション)。
そのほかに小澤総監督が出演するコンサートに『セイジ・オザワ 松本フェスティバルGig』がある(8/28)。2013年に村上春樹によって命名された『Gig』。ジャズ・ミュージシャンとの共演や若いアーティストの登場のあるこのコンサートで、今年、小澤が指揮するのは、マーカス・ロバーツ・トリオとの「ラプソディー・イン・ブルー」。また、今回の『Gig』では、マーカス・ロバーツ・トリオと村上寿昭指揮SKOとの共演で、マーカス・ロバーツの「ラプソディー・イン・ディー」(委嘱新作)の世界初演もある。村上は、小澤征爾の愛弟子であり、リンツやハノーファーの歌劇場で活躍している俊英。SKOを相手にプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」(抜粋)やイベールの「ディヴェルティスマン(喜遊曲)」も指揮する。
この4月に7年ぶりにベルリン・フィルと共演して名演を聴かせた小澤だけに、自らの名が冠されたこのフェスでも渾身の演奏を繰り広げることは間違いない。
文:山田治生
(ぶらあぼ 2016年8月号から)
8/9(火)〜9/9(金) キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)、まつもと市民芸術館、ザ・ハーモニーホール(松本市音楽文化ホール)、あがたの森文化会館 他
問:チケット・インフォメーション・ダイヤル0570-084-735
http://www.ozawa-festival.com