欧州で絶賛される俊英の感性
もしかすると、「品格」と言う言葉は、彼の指先から紡ぎ出される音色のためにあるのかもしれない。2003年にエリザベート王妃国際音楽コンクールを制したのをはじめ、15以上もの登竜門で優勝・入賞を重ねてきたドイツの天才ピアニスト、セヴェリン・フォン・エッカードシュタイン。世界中でリサイタル活動を行い、圧倒的な技巧に裏づけられた、繊細さと気品の高さで聴衆の心を捉える一方、一線オーケストラと共演も行い、サイモン・ラトルら巨匠指揮者からの信頼も厚い。
日経ミューズサロンでのリサイタルは、そんな彼の音楽世界のエッセンスの趣き。シューマン「幻想小曲集」やフォーレ「舟歌」第1、8、12番といった有名曲に加えて、ワーグナー《パルジファル》第1幕からの舞台転換音楽と「ワルキューレの騎行」のピアノ編曲版、20世紀イギリスのヨーク・ボウエンの「ソナタ第5番」、19世紀ドイツのユリウス・ロイプケの「スケルツォ」を交えるユニークな選曲からも、その感性のほとばしりが伝わって来る。
文:笹田和人
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年5月号から)
6/20(月)18:30 日経ホール
問:日経ミューズサロン事務局03-3943-7066
http://www.nikkei-hall.com