新国立劇場《イェヌーファ》稽古場レポートvol.2

 2月28日に開幕する新国立劇場の新制作オペラ《イェヌーファ》。1月31日から日本人キャストとカヴァー歌手の稽古が始まっていますが、2月4日から指揮者のトマーシュ・ハヌスが、7日にはすでにベルリン・ドイツ・オペラでの同プロダクションに出演歴のあるハンナ・シュヴァルツ、ヴィル・ハルトマン、ジェニファー・ラーモアが参加しての稽古が開始されました。
(2016.2.7 新国立劇場リハーサル室 Photo:M.Terashi/TokyoMDE)

 稽古場では飯守泰次郎オペラ芸術監督が、海外からの歌手陣の労をねぎらいます。

左より)飯守泰次郎オペラ芸術監督、トマーシュ・ハヌス、ジェニファー・ラーモア、ヴィル・ハルトマン、ハンナ・シュヴァルツ
左より)飯守泰次郎オペラ芸術監督、トマーシュ・ハヌス、ジェニファー・ラーモア、ヴィル・ハルトマン、ハンナ・シュヴァルツ

 この日の稽古も第1幕から。
 すでに同プロダクションで歌っている歌手陣ですが、それでも立ち稽古の前にマエストロによる音楽稽古が行われます。イェヌーファ役はカヴァーの小林厚子。カヴァー歌手は本役歌手と同様に事前の稽古をし、どんなアクシデントにも対応できるようにスタンバイしている重要な役目。

左より)ヴィル・ハルトマン、ジェニファー・ラーモア、ハンナ・シュヴァルツ、小林厚子(イェヌーファ役カヴァー)、根本卓也(プロンプター)、トマーシュ・ハヌス、エヴァ・マリア・アベライン(演出補)
左より)ヴィル・ハルトマン、ジェニファー・ラーモア、ハンナ・シュヴァルツ、小林厚子(イェヌーファ役カヴァー)、根本卓也(プロンプター)、トマーシュ・ハヌス、エヴァ・マリア・アベライン(演出補)

萩原潤に稽古をつける指揮のトマーシュ・ハヌス
萩原潤に稽古をつける指揮のトマーシュ・ハヌス

左より)ヴィル・ハルトマン、ハンナ・シュヴァルツ、小林厚子(イェヌーファ役カヴァー)、萩原潤、トマーシュ・ハヌス
左より)ヴィル・ハルトマン、ハンナ・シュヴァルツ、小林厚子(イェヌーファ役カヴァー)、萩原潤、トマーシュ・ハヌス

立ち稽古が始まりました。
【第1幕】
●第1場

・このプロダクションの演出(クリストフ・ロイ)では、音楽が始まる前にまず、コステルニチカが黙約で登場します。コステルニチカは常に黒くて大きな鞄を携えています。そして、他の登場人物にはコステルニチカの姿が見えない・・・。その理由はまた追ってご紹介しましょう。

ジェニファー・ラーモア(コステルニチカ)
ジェニファー・ラーモア(コステルニチカ)

製粉所を経営するブリヤ家の孫娘イェヌーファは、従兄で製粉所の若き当主シュテヴァと結婚予定。その帰りを待つイェヌーファが聖母マリアに祈りを捧げています。
小林厚子(イェヌーファ役カヴァー)、ジェニファー・ラーモア(コステルニチカ)
小林厚子(イェヌーファ役カヴァー)、ジェニファー・ラーモア(コステルニチカ)

そこに、ブリヤ家の女主人(ハンナ・シュヴァルツ)がやってきます。イェヌーファと入れちがいでブリヤ家の長男(シュテヴァの父)の妻の連れ子(すなわち、シュテヴァの異父兄)であるラツァがやってきますが、相手にしない女主人の態度に苛つく様子。
ヴィル・ハルトマン(ラツァ・クレメニュ) 、ハンナ・シュヴァルツ(ブリヤ家の女主人)
ヴィル・ハルトマン(ラツァ・クレメニュ)
、ハンナ・シュヴァルツ(ブリヤ家の女主人)

イェヌーファがひとり物思いにふけっていると、遠くから牧童のヤノ(吉原圭子)がイェヌーファを呼ぶ声が聞こえてきます。イェヌーファのおかげで文字が読めるようになったと喜ぶヤノ。
左)吉原圭子(牧童ヤノ)
左)吉原圭子(牧童ヤノ)

●第2場
出て行ったはずのラツァがイェヌーファのところに再び戻り、そこに粉屋の親方(萩原潤)がやってきます。

中央左)ヴィル・ハルトマン(ラツァ・クレメニュ)、中央右)小泉詠子(水車小屋の女中バレナ)
中央左)ヴィル・ハルトマン(ラツァ・クレメニュ)、中央右)小泉詠子(水車小屋の女中バレナ)

右から2番目)萩原潤粉(屋の親方)
右から2番目)萩原潤粉(屋の親方)



立ち稽古の合間にも、歌手やスタッフはマエストロと入念な打ち合わせ

出番が来るまでの間も、黙々と楽譜を読み込むヴィル・ハルトマン

演技指導に余念が無いエヴァ=マリア・アベライン

 オペラ《イェヌーファ》は2/28(日)から上演。また、上演に先立ち、2/13(土)にはオペラトークも開催されます。

◆オペラトーク「イェヌーファ」
2月13日(土)11:30-13:00 新国立劇場 オペラパレス ホワイエ
講師:小沼純一(早稲田大学教授、音楽・文芸批評家)
演奏予定曲目:2幕3場 シュテヴァ、コステルニチカのニ重唱より、2幕4場 コステルニチカ、ラツァのニ重唱、2幕6場 イェヌーファのアリア
出演:イェヌーファ:小林厚子、コステルニチカ:森山京子、ラツァ・クレメニュ:内山信吾、シュテヴァ・ブリヤ:菅野敦
料金: 1,500円(自由席・税込)
問:新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-999
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/news/detail/151126_007839.html
 

■新国立劇場2015/2016シーズン
ヤナーチェク《イェヌーファ》【全3幕<チェコ語上演/字幕付>】(新制作)
2016年2月28日(日)14:00/3月2日(水)18:30/5日(土)14:00/8日(火)18:30/11日(金)14:00 新国立劇場オペラパレス

指揮:トマーシュ・ハヌス
演出:クリストフ・ロイ

美術:ディルク・ベッカー
衣裳:ユディット・ヴァイラオホ
照明:ベルント・プルクラベク
振付:トーマス・ヴィルヘルム
演出補:エヴァ・マリア・アベライン

ブリヤ家の女主人:ハンナ・シュヴァルツ
ラツァ・クレメニュ:ヴィル・ハルトマン
シュテヴァ・ブリヤ:ジャンルカ・ザンピエーリ
コステルニチカ:ジェニファー・ラーモア
イェヌーファ:ミヒャエラ・カウネ
粉屋の親方:萩原潤
村長:志村文彦
村長夫人:与田朝子
カロルカ:針生美智子
羊飼いの女:鵜木絵里
バレナ:小泉詠子
ヤノ:吉原圭子

合唱指揮:冨平恭平
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京交響楽団

S:27,000円/A:21,600円/B:15,120円/C:8,640円

新国立劇場 《イェヌーファ》特設WEBサイト
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/jenufa/

The New National Theatre
2015/2016 Season
New production

Music by Leoš JANÁČEK
Opera in 3 acts
Sung in Czech with Japanese supertitles
Opera Palace

Staff

Conductor Tomáš HANUS
Production Christof LOY
Scenery Design Dirk BECKER
Costume Design Judith WEIHRAUCH
Lighting Design Bernd PURKRABEK
Choreographer Thomas WILHELM
Revival Director Eva-Maria ABELEIN
Stage Manager SAITO Miho

Cast

Stařenka Buryjovka Hanna SCHWARZ
Laca Klemeň Will HARTMANN
Števa Buryja Gianluca ZAMPIERI
Kostelnička Buryjovka Jennifer LARMORE
Jenůfa Michaela KAUNE
Stárek HAGIWARA Jun
Rychtář SHIMURA Fumihiko
Rychtářka YODA Asako
Pastruchyňa UNOKI Eri
Karolka HARIU Michiko
Barena KOIZUMI Eiko
Jano YOSHIHARA Keiko

Chorus Master TOMIHIRA Kyohei
Chorus New National Theatre Chorus

Orchestra Tokyo Symphony Orchestra

Artistic Director IIMORI Taijiro

The New National Theatre,
Tokyo Box Office:
+81-(0)3-5352-9999

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●新国立劇場 ヤナーチェク《イェヌーファ》(新制作)
白を基調とした舞台に、美しいメロディーが溢れる、愛の物語
(ぶらあぼ2016年2月号から 文:森岡実穂)
https://ebravo.jp/archives/23925