東京文化会館 《響の森》vol.37 ニューイヤーコンサート 2016

新年の幕開けを、熱演で祝う


 「今年もクラシック音楽界は大いに盛り上がるに違いない」。そんな予想と期待を確信に変えてくれる、正月恒例のイベントが東京文化会館の『ニューイヤーコンサート』だ。管弦楽は同館に本部を置く東京都交響楽団。指揮は同館の音楽監督を務める小林研一郎で、この『ニューイヤーコンサート』には2年連続の登場となる。
 プログラム前半は、前回と同じく若手実力派との共演。15年の公演ではヴァイオリニストの木嶋真優をソリストに迎えたが、16年はピアニストの金子三勇士が登場し、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を共演する。小林は金子の才能を早くから評価し、温かく見守り続けてきた間柄。13年には同曲の録音も実現し(管弦楽はロンドン・フィル)、迫力満点の演奏を聴かせてくれた。あの感動から約3年、小林の情熱的な指揮と、金子の冷静で精密なピアノが、それぞれどのように進化しているかが楽しみだ。
 そして後半は、「炎のコバケン」の異名で知られる小林の十八番のひとつ、ブラームスの交響曲第1番。特別客演指揮者を務める読売日本交響楽団とは現在ブラームス交響曲全集を録音中で、14年4月に東京芸術劇場で行った第1番のセッション録音が大好評を博したことも記憶に新しい。読響との共演で顕著だった重厚な響きとエネルギーが、都響との邂逅ではどのような充実を聴かせてくれるのか。おみくじで言うと“大吉”が予め約束されたような公演なだけに聴き逃せない。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年11月号から)

2016.1/3(日)15:00 東京文化会館
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
http://www.t-bunka.jp