研ぎ澄まされた感受性を求めて
ピアニストのマリア・ジョアン・ピリスが、その活動の主軸に「教育」を据えるようになって久しい。音楽芸術のあり方を人の生活や社会との対話、他者との分かち合いを基軸に捉え直し、競争社会の理念とは別のアプローチで若き音楽家たちの育成に力を注ぐ。「パルティトゥーラ・プロジェクト」は、ピリスが2014年からベルギーのエリザベート王妃音楽院で開始したプロ養成プロジェクト。その一環である各国でのリサイタルが、いよいよ日本でも行われる。
彩の国さいたま芸術劇場にピリスと共に登場するのは、第1期生に選ばれた7名のうちの1人、ナタナエル・グーアンだ。連弾曲の最高峰とされるシューベルトの「人生の嵐」と「幻想曲」をプログラムの最初と最後に配置。間にベートーヴェンのソナタから第31番をピリスが、第21番「ヴァルトシュタイン」をグーアンが独奏する。彼らとの音楽の「分かち合い」を、インタラクティブに楽しみたい。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年11月号から)
11/15(日)15:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
問:彩の国さいたま芸術劇場0570-064-939
http://www.saf.or.jp/arthall