『原色衝動』

天才アラーキーの写真にダイブ!!

左:白井剛 右:キム・ソンヨン 撮影:荒木経惟
左:白井剛 右:キム・ソンヨン 撮影:荒木経惟
 これは、ちょっと意表を突く企画である。日本と韓国のダンス界をそれぞれ牽引してきた白井剛とキム・ソンヨンが、天才アラーキーこと荒木経惟の写真をテキストにして踊るというのだ。
 白井は凝縮した動きと繊細かつ強靱なダンスを見せる。コラボレーションにも積極的で、ダムタイプの藤本隆行らと創った『true/本当のこと』では世界11ヵ国を巡った。一方のキムは柔らかく多彩な動きが魅力だ。韓国では若い頃から数々の重要な賞を受賞し、自らのカンパニーも活発に公演を重ねている。そんな二人が東京・京都・韓国にレジデンスし、じっくりと時間をかけてクリエイションを重ねてきたのが本作なのだ。
 自らを「天才」と称する荒木は、海外での評価も高い。匂い立つようなエロティシズムから、下町の道路で遊ぶ歯の抜けた子どもの満面の笑顔まで、観る者の胸の奥を鷲掴みにするのである。今回使用される写真は、とくに原色が強調されたものだという。タイプこそ違うが、身体の質を突き詰めていく点では共通しているダンサー二人が、荒木のパワフルな写真作品にどう挑戦していくのか、じつに興味深いではないか。
 しかも初演の会場は、京都芸術劇場の春秋座である。歌舞伎を主体としながら様々な公演に取り組んでいる会場をどのように使うのかにも関心を集めている。来年2月には世田谷パブリックシアターでの公演も予定されており、大いに期待できそうだ。
文:乗越たかお
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年9月号から)

9/26(土)14:00 18:00、9/27(日)14:00 京都芸術劇場 春秋座
問:京都芸術劇場チケットセンター075-791-8240

2016.2/26(金)、2/27(土) 世田谷パブリックシアター 
12月中発売
問:世田谷パブリックシアターチケットセンター03-5432-1515
http://setagaya-pt.jp