家族そろって、音楽をまるっと楽しめる3日間!――「サラダ音楽祭2026」メインプログラムの観どころ&聴きどころ

 池袋エリアをメイン会場に、東京都交響楽団が東京都や東京芸術劇場などと連携して開催する「サラダ音楽祭」。誰もが音楽の楽しさを体感し、表現できることを目指したフェスティバルで、「サラダ」という名称は「Sing and Listen and Dance~歌う!聴く!踊る!=SaLaD」に由来する。赤ちゃんから大人まで自由に楽しめる多彩なプログラムが並ぶ。

昨年のサラダ音楽祭「メインコンサート」より

 核となる「メインコンサート《Boléro》」は、国内主要オーケストラから厚い信頼を寄せられる梅田俊明の指揮のもと、「オーケストラ×歌×ダンス」による総合芸術を堪能できる。グリーグの組曲「ホルベアの時代より」で幕を開け、新国立劇場合唱団によるラター「グローリア」、そしてダンスカンパニー「Noism Company Niigata」の踊りと共に奏されるラヴェルの組曲「マ・メール・ロワ」(振付:中尾洸太/新作/ダンスは一部のみ)、「ボレロ」(振付:金森穣)が続く。オーケストラの色彩豊かな音色の魅力や迫力のサウンド、身体表現によって磨き上げられた芸術を存分に味わうことができるだろう。

“0歳でもウェルカム!”の人気企画は3公演開催!

 「サラダ音楽祭」は家族で一緒に楽しめる公演や企画が盛りだくさんで、会場は常に子どもたちの笑顔にあふれている。その象徴ともいえるコンサートが、「OK!オーケストラ」だ。“赤ちゃんが泣いても、声を出しても安心!”と大人気で、それを受けて今年は3公演開催されることが決定した。川瀬賢太郎がタクトをとるオーケストラの豊かな響きや多彩なリズムと、近藤良平率いる人気ダンスカンパニー「コンドルズ」による全身を使ったユーモラスな表現とのコラボレーションは、多くの親子を楽しませてくれるはず。

「OK!オーケストラ」

 今年も「指揮体験コーナー」や「みんなで一緒に歌おう!」といった身体を動かす時間が設けられ、コンサートの空間に慣れていない子どもたちでも安心して楽しめる工夫が凝らされている。すぎやまこういちの交響組曲「ドラゴンクエストⅤ」天空の花嫁の〈序曲のマーチ〉ではじまり、ロンビの「コペンハーゲンの蒸気機関車のギャロップ」、シャブリエの狂詩曲「スペイン」など華やかで躍動感あふれるリズムに満ちた楽曲が続く。コンサート・デビューに最適なプログラムがもたらすたくさんの“体験”は、大きな学びも与えてくれるだろう。

ワクワクのオペラに、自然と身体が動き出すダンス公演

 舞台鑑賞に慣れた子どもたちには「子どものためのオペラ」もおすすめだ。例年、夢いっぱいの物語の世界、それを鮮やかに表現する演出、注目の歌手たちによる歌唱で人気を集めている。今回は昨年大好評だった、ノルウェーの童話が原作の《しろくまの王さま ヴァレモンの物語》を再演。勇敢な娘ラグナが、愛するしろくまの王さまであるヴァレモンにかかった呪いを解くために、冒険に出るという物語だ。美しい歌に心動かされるのはもちろん、かわいらしい衣装や舞台によって、見ているだけで作品の世界に引き込まれるだろう。主人公ラグナを演じるのは昨年に続きソプラノの種谷典子。華やかな舞台姿、凛とした強さと優雅さを兼ね備えた美声、そして演技力の高さで今回も聴衆を魅了するに違いない。ヴァレモンも深い響きの声とコミカルな演技で人気の小野寺光が引き続き演じる。

《しろくまの王さま ヴァレモンの物語》

 「Noism」の研修生で構成された「Noism2」による、親子で一緒に楽しめるワークショップ付きのダンス公演「動物たちのダンス&ミュージック」も注目だ。都響メンバーによる弦楽合奏が奏でるサン=サーンスの「動物の謝肉祭」(抜粋)と共に繰り広げられるアクロバティックな身体表現を家族そろって鑑賞しよう。上演後にはワークショップがあり、ダンサーたちと交流することもできる。

「動物たちのダンス&ミュージック」

もっと音楽が好きになる!参加型の企画も充実

 多種多様な企画を巡って楽しめるのも「サラダ音楽祭」の醍醐味。たとえば、会場のピアノを弾くと、近くに設置されたモニターの中の“バーチャル都響カルテット”が共演してくれるアトラクション「都響といっしょに『だれでもピアノ®』」は、光のアシストに合わせて鍵盤を押すだけでプロのピアニストになったかのような体験ができる。楽曲も、指一本で弾けるものから両手による本格的な曲まで幅広く用意されている。

「都響といっしょに『だれでもピアノ®』」

 楽器演奏の経験がある方は、都響メンバーの指導を直接受けて共演する「都響メンバーとLet’s 弦楽アンサンブル」や「都響メンバーによる管・打楽器アンサンブルレッスン」に挑戦してみてはいかがだろう(条件や審査があるため、詳しくは公式HPを参照。応募は7月23日まで)。どちらも会期中に「発表コンサート」が設けられており、音楽の喜びを参加者と聴衆が共有できる場として高い人気を誇る。

「都響メンバーとLet’s 弦楽アンサンブル」

 さらに、各分野で活躍するアーティストからレクチャーが受けられるワークショップも目白押しだ。子どもから大人まで、障がいのある方も参加・体験できる。今年も「歌」、「ダンス」、そして自分だけのストローリコーダーを作る「楽器作り」の3つのプログラムが用意されている。

「楽器作り」のワークショップ

 大きな感動を呼ぶ演奏やダンスを楽しめるだけでなく、自分自身も参加しながら、新しい発見や喜びに出会える機会が満載の「サラダ音楽祭」。ぜひ家族で一緒に出掛けてみてほしい。

文:長井進之介


[サラダ音楽祭]TOKYO MET SaLaD MUSIC FESTIVAL 2026
メインプログラム

2026.9/11(金)~9/13(日)東京芸術劇場、池袋エリア

♪音楽祭メインコンサート《Boléro》

9/11(金)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール

◯出演
指揮:梅田俊明
ダンス:Noism Company Niigata*
合唱:新国立劇場合唱団**
管弦楽:東京都交響楽団

◯曲目
グリーグ:組曲「ホルベアの時代より」 op.40
ラター:グローリア**
ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」[一部ダンス付き(演出振付:中尾洸太)]、ボレロ(演出振付:金森穣)

♪OK!オーケストラ〜0歳から入場OK!

9/12(土)15:00、9/13(日)11:00、15:00 東京芸術劇場 コンサートホール

◯出演
指揮:川瀬賢太郎
司会:小林顕作
ダンス・振付:近藤良平
ダンス:コンドルズ
児童合唱:東京少年少女合唱隊☆
管弦楽:東京都交響楽団

◯曲目
すぎやまこういち:交響組曲「ドラゴンクエストⅤ」天空の花嫁より〈序曲のマーチ〉
ロンビ:コペンハーゲンの蒸気機関車のギャロップ
ビゼー:歌劇《カルメン》前奏曲(指揮体験コーナー)
ロッシーニ:歌劇《セビリアの理髪師》序曲(コンドルズによるダンス)
中川ひろたか(編曲:萩森英明):にじ☆(みんなで一緒に歌おう!)
シャブリエ:狂詩曲「スペイン」

♪子どものためのオペラ《しろくまの王さま ヴァレモンの物語》(日本語上演)

9/12(土)、9/13(日)各日14:00 東京芸術劇場 シアターイースト

演出・台本日本語翻訳:菅尾友

◯出演
ラグナ:種谷典子
ヴァレモン:小野寺光
ストーリーテラー:神原愛可
ヴァイオリン:福崎雄也
クラリネット:濱崎由紀
トロンボーン:東川暁洋
ハープ:宮本あゆみ
打楽器:永野雅晴

◯作品
エレナ・カッツ=チェルニン(作曲)、スザンネ・フェリシタス・ヴォルフ(台本):『しろくまの王さま ヴァレモンの物語』(日本語上演)

♪親子で楽しもう!『動物たちのダンス&ミュージック』

9/12(土)、9/13(日)各日13:00 東京芸術劇場 プレイハウス

◯出演
ダンス:Noism2(演出振付:山田勇気)
室内楽:東京都交響楽団メンバーによる弦楽合奏

◯内容
●演目
サン=サーンス:「動物の謝肉祭」より
 〈序奏と獅子王の行進曲〉〈象〉〈雌鶏と雄鶏〉〈亀〉〈化石〉〈白鳥〉〈終曲〉
●ワークショップ 「舞台に上がって作品の世界を体験しよう」

※その他イベントの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

問:サラダ音楽祭事務局03-6704-9342
https://salad-music-fes.com


長井進之介 Shinnosuke Nagai

国立音楽大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学に交換留学。アンサンブルを中心にコンサートやレコーディングを行っており、2007年度〈柴田南雄音楽評論賞〉奨励賞受賞(史上最年少)を機に音楽ライターとして活動を開始。現在、群馬大学共同教育学部音楽教育講座非常勤講師、国立音楽大学大学院伴奏助手、インターネットラジオ「OTTAVA」プレゼンターも務める。
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