スイスの名匠ミシェル・タバシュニクが新日本フィル定期に登場!

左:ミシェル・タバシュニク ©Jean-Baptiste Millot
右:アンドレイ・イオニーツァ ©Nikolaj Lund

 5月の新日本フィル定期に、あのミシェル・タバシュニクが客演する。現在83歳、欧州の名門楽団の多くを指揮してきたスイスの名匠で、作曲家としても新作の依頼が途切れない巨匠である。昭和の時代からたびたび来日し、近年は関西をはじめ各地の楽団への客演が多く、その度に好評を重ねている。今回は久しぶりの東京でのタクトで、期待がふくらむ。

 プログラムは彼の多才を発揮できる、多彩な内容の3曲。まずラヴェル「ラ・ヴァルス」。作曲家としての分析的なスコアの解読、アンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督などを務めてきたシャープな構築、それらを踏まえた色彩的かつ熱狂的なサウンドに期待したい。

 続いてショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番。ソリストは2015年チャイコフスキー国際コンクール優勝、ルーマニア出身の若き達人、アンドレイ・イオニーツァ。ロシアで評価された彼の弾く本作、ことに長大なカデンツァは大いに聴きものとなる。さらに、ショスタコーヴィチの諧謔、抒情、不安などがこもった傑作に、タバシュニクがどうアプローチするのかも興味が尽きない。

 そしてブラームスの交響曲第2番。タバシュニクは近年日本各地でブラームスを取り上げていて、斬新で自在な構築の演奏が評判になっている。この日は20世紀の混迷を象徴するような2作のあと、自然を思わせる美しさと豊かな旋律美を誇る19世紀の名交響曲を、マエストロが新日本フィルとどのように奏でるのか。会場でその世界に浸りたい。

文:林 昌英

(ぶらあぼ2026年4月号より)

ミシェル・タバシュニク(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団 第670回 定期演奏会
〈サントリーホール・シリーズ〉

2026.5/8(金)19:00 サントリーホール
〈トリフォニーホール・シリーズ〉
2026.5/9(土)14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィルチケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp


林 昌英 Masahide Hayashi

出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。