読売日本交響楽団が2026/27シーズンプログラムを発表

 読売日本交響楽団は11月5日、2026/27シーズン(2026年4月〜2027年3月)のプログラムを発表した。サントリーホールでの定期演奏会と名曲シリーズ、東京芸術劇場 コンサートホールで行う土曜/日曜マチネーシリーズ、横浜みなとみらいホールでの横浜マチネーシリーズの4シリーズを柱とする。

セバスティアン・ヴァイグレ
©読売日本交響楽団

 就任8季目を迎える常任指揮者セバスティアン・ヴァイグレは、昨季のベルク《ヴォツェック》、今季のプフィッツナー「ドイツ精神について」の日本初演(26.1/20)と、20世紀に作曲された大作を続けて取り上げているが、新シーズンではルディ・シュテファン(1887~1915)の歌劇《最初の人類》を日本初演する(演奏会形式、27.3/19)。第一次世界大戦で戦死し短い生涯を閉じた作曲家が唯一遺したオペラ作品で、ヴァイグレにとっては、フランクフルト歌劇場音楽総監督としての最後の公演でも上演している特別な演目だ。
 さらに、7月定期(26.7/14)では、同じくシュテファンの「交響的楽章」(日本初演)とR.シュトラウス「死と変容」をカップリングし、同月の横浜マチネー・名曲シリーズ(7/19,7/21)では、ヘンツェ(1926~2012)とR.シュトラウス「アルプス交響曲」を組み合わせるなど、ドイツ音楽を掘り下げる。
 ほかにも、シューマン《ゲノフェーファ》序曲とメンデルスゾーン「イタリア」を並べた7月の土曜/日曜マチネー(7/25,7/26)、ハンス・ロット「ジュリアス・シーザー」への前奏曲、モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲(独奏:三浦文彰vn、鈴木康浩va)、マーラー「巨人」のウィーン・プログラム(27.3/6,3/7)、さらにはベートーヴェン「第九」(26.12/17,12/20,12/22,12/26,12/27)まで、ヴァイグレならではの重厚なサウンドを楽しませてくれそうだ。

 昨シーズンから首席客演指揮者を務めるユライ・ヴァルチュハは、これまでにマーラー、ベートーヴェン、R.シュトラウスなどの独墺作品を指揮してきた。来季はマーラーの6番「悲劇的」(9/8)のほか、シベリウスのヴァイオリン協奏曲(独奏:セルゲイ・ハチャトゥリアン)、ショスタコーヴィチ10番(9/13,9/15)、そしてグラズノフ、チャイコフスキー、ラフマニノフなど(9/19,9/20)、ロシア作品にも光を当てる。
 桂冠指揮者のシルヴァン・カンブルランも3プログラムを指揮。デュティユー(仏)、メンデルスゾーン(独)、ドヴォルザーク(チェコ)、チャイコフスキー(露)など、ロマン派を中心に組み合わせた、カンブルランらしいバラエティ豊かなプログラムが予定されている。

 客演陣で注目はフランソワ=グザヴィエ・ロト。この9月から南西ドイツ放送(SWR)響の首席指揮者兼芸術監督を務める現代屈指の指揮者のひとりだ。
 11月29日、30日に披露するマーラー4番は、自身が設立したオーケストラ「レ・シエクル」でのピリオド奏法を用いた録音が印象的だが、読響ではどのような解釈をみせるか。さらには、2018年にベルリン・フィルの首席エマニュエル・パユと初演したフィリップ・マヌリのフルート協奏曲「サッカード」の同コンビによる再演も楽しみだ。同月24日には、ヤナーチェクの狂詩曲「タラス・ブーリバ」とシンフォニエッタ、モーツァルトの交響曲第34番の3曲で、オーケストラとの対話をじっくりと聴かせる。

 今年6月に待望のベルリン・フィル・デビューを果たし、ベルリン・ドイツ響の首席指揮者兼芸術監督への就任も控える山田和樹も登場。今季の團伊玖磨《夕鶴》(25.11/23)に続き、来季は大栗裕「大阪俗謡による幻想曲」や、シューベルトの弦楽五重奏曲op.163を近衛秀麿が管弦楽版に編曲した「大交響曲 ハ長調」など、邦人作品を振る(27.1/22)。
 また、イタリアの古楽グループ「イル・ジャルディーノ・アルモニコ」の創設者のひとりで、現在はザルツブルク・モーツァルテウム管およびバーゼル室内管の首席客演指揮者を務めるジョヴァンニ・アントニーニの登場(26.10/23,10/25)も楽しみだ。

 ソリスト陣も豪華。ルノー・カプソンイリヤ・グリンゴルツ(以上ヴァイオリン)、アミハイ・グロス(ヴィオラ)、ソル・ガベッタジャン=ギアン・ケラス(以上チェロ)、イレーネ・テオリン(ソプラノ)ら、錚々たる顔ぶれだ。

 楽団員の世代交代も進み、ますます充実の度を深める読響。来季も変幻自在のサウンドで、我々を魅了してくれることだろう。

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