日中韓のスペシャリストが繰り広げる祭典
この夏、新潟を舞台にアジアに焦点を当てた国際ダンスフェスティバルが行われる。「東アジア文化都市2015 新潟市」事業の一環である「NIDF2015 新潟インターナショナルダンスフェスティバル」は、新潟市文化創造アドバイザーの金森穣(Noism芸術監督・演出振付家)がアーティスティックディレクターを務める注目の催しだ。日中韓を代表するプロフェッショナルダンスカンパニーが、りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館に集う。
韓国初の公立現代舞踊団が1981年に設立された大邱市立舞踊団 (DCMDC)。今回は芸術監督で韓国国立現代舞踊団初代芸術監督(10年〜13年)でもあるホン・スンヨプの出世作『Moon-Looking Dog』(99年初演)と新作『I Saw the Elephant』より第2部が上演される。韓国ダンス界をリードする鬼才の原点と現在の関心を一望できるだろう。
中国・香港の城市当代舞踊団(CCDC)は79年に設立され、創設者で芸術監督のウィリー・ツァオのもと35年にわたって先鋭的な作品を発表してきた。このたびは専任振付家のサン・ジジアが手がけた“インタラクティブなマルチメディアパフォーマンス”『As If To Nothing』を上演する。国際的に活躍するジジアの評判作なので反響を呼びそうだ。
日本からは金森が新たに立ち上げたプロジェクトカンパニー、Noism0(ゼロ)の新作『愛と精霊の家』が登場。金森とNoism副芸術監督・井関佐和子によるプライベート・ユニットunit-Cyanが12年に発表した『シアンの家』をベースに“人類普遍のテーマ、永遠のテーマである愛と死を描く”。出演は金森、井関に加え山田勇気、小㞍健太、俳優の奥野晃士。舞踊だけでなく演劇、音楽、美術等の分野で専門的経験を積んだ芸術家によるプロジェクトの第1弾にふさわしい実力者が揃うだけに見逃したくない。
また「劇場専属舞踊団の課題とアジアの未来」と題して、参加舞踊団の芸術監督による文化鼎談が新潟県民会館小ホールで開かれる(入場無料・要申込み)。日中韓における舞踊事情やアジアのダンスの展望が語られる貴重な機会となるだろう。
アジアのダンスの今を知り、未来を占ううえで重要なフェスティバルなのは間違いない。新潟までぜひとも足を運びたいものだ。
文:高橋森彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年8月号から)
大邱市立舞踊団 8/21(金)19:00
城市当代舞踊団 8/28(金)19:00
Noism0 9/4(金)19:00
りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
7/18(土)発売
関連公演
文化鼎談―劇場専属舞踊団の課題とアジアの未来
8/23(日)14:30 新潟県民会館(小)
問:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 NIDF2015 025-224-7000
http://noism.jp/nidf2015