アダム・クーパーの名演再び
音楽、演劇、バレエの三拍子が揃った“舞台作品の頂点”ともいえるストラヴィンスキーの『兵士の物語』。その英国ロイヤル・オペラ・ハウス版が、2009年9月の本邦初演以来、約6年ぶりに日本で上演される。本作品の特徴は、多くの『兵士の物語』で見られる、芝居のパートは俳優が演じ、バレエのパートはダンサーが躍るという“演じ分け”をせず、出演者各々が自身で台詞を語り、バレエを踊る点。それを実現したのは、04年のロンドン初演はもちろん、09年に続いて今回の来日公演にも主演するアダム・クーパー。振付家、俳優としても活躍する英国のスターダンサーで、昨年11月のミュージカル『SINGIN’ IN THE RAIN〜雨に唄えば〜』来日公演でも主演を演じ、踊り、芝居、歌で観客を魅了した。
そんなアダムが本作品で演じるのは、休暇で帰郷する途中、老人に化けた悪魔に声をかけられ、自身のヴァイオリンと引き換えに大金を生む本を手に入れる兵士。大金を手にした兵士は、ある国の王女と結婚するが、望郷の念にかられ、妻を連れて故郷へと向かい…。王女役は、英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパル、ラウラ・モレーラ。悪魔をサム・アーチャー、ストーリー・テラーをアレクサンダー・キャンベルが演じる。演出・振付は、英国のロイヤル・バレエやロイヤル・オペラを中心に世界的に活躍し、前回の日本公演では自身でストーリー・テラーも務めたウィル・タケット。もちろんストラヴィンスキーの多彩な楽曲も楽しみだ。
文:岡崎 香
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年7月号から)
7/24(金)〜8/2(日) 東京芸術劇場プレイハウス
問:パルコ03-3477-5858
http://www.parco-play.com