サティの「スポーツと気晴らし」にちなんだタイトルを持つ本作は、フランスで研鑽を積み、欧州のピアノ教育に詳しいピアニスト末高明美と、フランス国内外で活躍を続けるアリアンヌ・ジャコブのソロとデュオを収める。DANCE(ヒナステラの「アルゼンチン舞曲集」など)、HAIKU(ガニューの「6つの一茶の俳句によるピアノ曲」など)、SPORTS(サティ作品)という3部構成からなるユニークな選曲。日常生活の中の「気晴らし」を音楽で表現したという。気負いのない素直な音楽作りで、かつ生き生きと、小粋に響かせる演奏はまさにそのコンセプトを体現する。心を軽やかにしてくれる一枚だ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2025年10月号より)
【information】
配信『フランス音楽と気晴らし DANCE×HAIKU×SPORTS/末高明美&アリアンヌ・ジャコブ』
ドビュッシー:ボヘミア風舞曲/ヒナステラ:アルゼンチン舞曲集/ガニュー:6つの一茶の俳句によるピアノ曲/エルサン:「ピアノのためのエフェメール」より/サティ:ジムノペディ第1番、「スポーツと気晴らし」より 他
末高明美 アリアンヌ・ジャコブ(以上ピアノ)
コジマ録音
ALM-9284

飯田有抄 Arisa Iida(クラシック音楽ファシリテーター)
音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆、市民講座講師、音楽イベントの司会等に従事する。著書に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」「クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。


