若き才能の躍動を体感する
芸術家としての可能性に富む新人音楽家を発掘し、育成と支援を行うため、東京文化会館や東京都などが主催し、2003年のスタート以来、毎夏開催されている東京音楽コンクール。第13回となる今年からは、出場者の居住地を不問とし、部門審査員に外国人が参加、音源審査を廃止してホールでの演奏審査へ切り替え、本選出場枠を4人から最大6人へと拡大するなどのリニューアルが行われ、門戸を広げると共に、より国際色を深めることになった。
このコンクールでは、東京文化会館の主催公演をはじめ、入賞者が様々なステージのソリストなどに起用されるのも特徴。ここから羽ばたき、国際舞台で活躍中の入賞者も数多い。また、リニューアルの一環で、木管部門と金管部門が従来通り隔年開催の一方、ピアノと弦楽、声楽の各部門は3年に2度の開催に。この結果、08年以来の4部門体制から今年は木管・声楽・弦楽の3部門となったが、応募者数は逆に過去最高で、“リニューアル効果”が表れている。
何より、一般の聴衆も受け入れている第2次予選や本選を、心待ちにするファンは多い。特に本選では、小林研一郎・総合審査員長らが見守る中、梅田俊明指揮の新日本フィル(木管部門 8/26)や園田隆一郎指揮の東京フィル(声楽部門 8/28)、大井剛史指揮の東京交響楽団(弦楽部門 8/30)といった在京3楽団と対峙して、若き才能が躍動。自分だけの“お気に入りの奏者”を見つけて応援するもよし、真剣勝負の緊張感を体感するもよし。普段の演奏会では味わえない愉悦が、ここにはある。
文:笹田和人
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年8月号から)
第2次予選 8/21(金)〜8/24(月) 東京文化会館(小)
本選 8/26(水)18:00 木管部門、8/28(金)18:00 声楽部門、8/30(日)17:00 弦楽部門
東京文化会館(大)
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
http://www.t-bunka.jp