輝きを増す気鋭・金川真弓が彩の国に登場!時代を切り開いた作曲家の弦楽三重奏を披露

左より:金川真弓 ©Kaupo Kikkas/杉田恵理 ©Clara Evens/辻本 玲

 「エトワール」とはフランス語で「星」の意。彩の国さいたま芸術劇場では「エトワール・シリーズ プラス」と銘打って、気鋭の若手アーティストたちの公演を開催してきた。このシリーズの特徴は、アーティストが「室内楽」と「リサイタル」の二本立てで意欲的なプログラムに挑むところ。第3弾となる今回は、飛ぶ鳥を落とす勢いのヴァイオリニスト、金川真弓を招いて9月13日に「Part.1 弦楽三重奏」を開催する。26年3月には「リサイタル」が予定されている。

 金川は2018年ロン=ティボー国際音楽コンクール第2位、24年ジョルジュ・エネスク国際コンクール優勝など数多くの受賞歴を誇り、国際的に活躍する俊英。国内主要オーケストラともたびたび共演するトップレベルの実力者だ。今回はドイツと日本を拠点に活動するヴィオラ奏者の杉田恵理、NHK交響楽団首席チェロ奏者でソロや室内楽でも活躍する辻本玲とともに弦楽三重奏を組む。

 プログラムも魅力的だ。ヴァイオリンとヴィオラのために書かれたリゲティの「バラードとダンス」、マルティヌーの「3つのマドリガル」、さらにコダーイのヴァイオリンとチェロのための二重奏曲と弦楽三重奏のための間奏曲、そしてシェーンベルク晩年の傑作である弦楽三重奏曲。20世紀前半の音楽に焦点を当てた骨太の選曲だ。弦楽四重奏とは一味違って、三人それぞれの個性が前面に出るのが弦楽三重奏のおもしろさ。刺激的な公演になりそうだ。

文:飯尾洋一

(ぶらあぼ2025年7月号より)

エトワール・シリーズ プラス 金川真弓(ヴァイオリン) Part.1 弦楽三重奏
2025.9/13(土)15:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
問:SAFチケットセンター0570-064-939 
https://www.saf.or.jp/arthall/


飯尾洋一 Yoichi Iio

音楽ジャーナリスト。著書に『クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!』新装版(三笠書房)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『マンガで教養 やさしいクラシック』監修(朝日新聞出版)他。音楽誌やプログラムノートに寄稿するほか、テレビ朝日「題名のない音楽会」音楽アドバイザーなど、放送の分野でも活動する。ブログ発信中 http://www.classicajapan.com/wn/