〈日下紗矢子 ヴァイオリンの地平 2〉 古典 日下紗矢子×マーティン・ヘルムヘン

深く抉る「古典」の真価と進化

日下紗矢子 ©Kiyoaki Sasahara

日下紗矢子 ©Kiyoaki Sasahara

 日下紗矢子は、いま最も聴くべきヴァイオリニストの一人である。特にトッパンホールでのシリーズはそうだ。ベルリン・コンツェルトハウス管と読響のコンサートマスターを兼務しつつ、充実したソロ活動を行っている彼女は、2010〜12年同ホールの『エスポワール シリーズ』で顕著な深化を披露し、昨年から〈日下紗矢子 ヴァイオリンの地平〉シリーズを開始した。日下は、芯のある音と豊かな表現力をもち、虚飾を排して楽曲の本質そのものを聴かせる稀有の奏者。昨年の「バロック」では、モダン楽器を用いながら、造型確かな説得力抜群の名演を展開した。となれば今回の「古典」にも大きな期待がかかる。モーツァルト2曲、ベートーヴェン、シューベルトにパガニーニを挟んだ、約10年ごとの作品が並ぶプログラムは、古典の進化と作曲家の個性を同時にあぶり出す、意味深い内容。この演目に、ドイツの名手マーティン・ヘルムヘンのピアノも心強い。これはヴァイオリン音楽を愛する者なら、絶対に逃せない公演だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年7月号から)

7/31(金)19:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
http://www.toppanhall.com