マーラー「復活」に聴く名コンビの深化
2010/11のシーズンから始まったダニエル・ハーディングの新日本フィル・ミュージック・パートナーも5期目が終わろうとしている(任期が16年夏まで延長されたので、まだ1年は聴ける!)。マーラーを得意とするハーディングは、新日フィルともたびたびマーラー作品を取り上げてきたが、今シーズンの締めくくりは大作・交響曲第2番「復活」だ。
そもそも両者は船出時点からマーラーでつながっていたと言ってもいい。ミュージック・パートナーお披露目演奏会はマーラー第5番だったが、東日本大震災当日と重なったこの日、彼らの演奏は都内で開かれたわずかな公演の一つとなった。3ヵ月後に行われたチャリティーコンサートも第5番。その後も第9番(12年1月)、第1番(12年5月)、第6番(13年6月)、第7番(13年11月)、第4番(14年11月)と、毎シーズン手掛けており、来年7月には大曲・第8番「千人の交響曲」が予定されている。深化を続けてきた両者のマーラーは、ここにきて声楽を含む超大作群へと歩みを進めようとしている。
2人の独唱、合唱を要する「復活」の演奏時間は1時間半に及び、英雄の葬送に始まり、終楽章では黙示録的なカタストロフの描写を経て復活の神秘が歌い上げられる。的確な表現力と高い集中力が求められる曲だが、独唱陣も豪華。ソプラノのドロテア・レシュマンはいまや世界の著名劇場に定期的に登場し、近年は内田光子との歌曲アーベントも好評を得ている。ハーディングともマーラーの第4番などで共演している旧知の仲だ。クリスティアーネ・ストーティンも躍進を続けるメゾソプラノ。一昨年には来日して、ドイツリートの名品を聴かせてくれた。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年7月号から)
#545 定期演奏会
7/10(金)19:15、7/11(土)14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815
http://www.njp.or.jp