新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』

米沢 唯 Photo:Hidemi Seto
米沢 唯 Photo:Hidemi Seto
 大原永子芸術監督就任初シーズンのラストを飾るのは『白鳥の湖』。古典中の古典だけにカンパニーの真価が問われる。2006年に牧阿佐美が演出・改訂した版では、プロローグに王女オデットが悪魔ロットバルトにさらわれる場面を設け「なぜ白鳥に姿を変えられたのか」が明快に語られる。踊りの見せ場も豊富だ。第3幕のルースカヤには主軸クラスの踊り手が配される。おなじみ白鳥のコール・ド・バレエ(群舞)の美しさも見逃せない。
 話題はシーズン・ゲストダンサーのワディム・ムンタギロフだろう。端正な容姿、優美な身体のライン、安定したテクニックと三拍子揃う彼が、王子ジークフリートの揺れ動く心の内をどう演じるのか興味が尽きない。オデット/オディールは米沢唯。心技体ともに充実し旬な輝きを放つだけにムンタギロフとの化学反応が生まれそうだ。
 息のあった好ペア小野絢子&福岡雄大、表現力豊かな実力派の長田佳世&奥村康祐にも期待したい。
文:高橋森彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年4月号から)

6/10(水)〜6/14(日)新国立劇場オペラパレス
問:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999 
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet