巨匠と旬のアーティストが集う名古屋クラシックフェスティバル 全6公演

 名古屋市の愛知県芸術劇場は、名実ともに中部地方のクラシック・シーンの中心だ。この劇場のコンサートホールと大ホールを会場として、9月から来年1月まで開催されるのが、中京テレビクリエイション主催の「第43回 名古屋クラシックフェスティバル」である。

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団など海外のオーケストラが3つ、ヨーヨー・マなど人気演奏家のリサイタルが2つ、ウクライナ国立歌劇場によるオペラと、さまざまなジャンルの一流団体とアーティストによる6公演が行われる。

ショパンの詩情、そして現代最高の無伴奏の夕べ

 開幕は、9月2日の「ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団 with 牛田智大」。ショパン国際ピアノコンクールの本選で演奏することで日本でもおなじみの、ポーランドを代表するオーケストラだ。指揮は同国期待の俊英女性指揮者、アンナ・スウコフスカ=ミゴン。牛田智大の独奏によるショパンのピアノ協奏曲第1番とドヴォルザークの「新世界より」という名曲2曲で、清新な演奏を聴かせてくれることだろう。

左より:アンナ・スウコフスカ=ミゴン ©Grzegorz Mart/牛田智大 ©Ariga Terasawa/ヨーヨー・マ ©Jason Bell

 続いて9月19日は、「ヨーヨー・マ 無伴奏チェロ・リサイタル」。チェロの第一人者として長く世界に君臨する大ベテランが、たった一人で舞台に立つ。十八番のバッハの無伴奏チェロ組曲のうち第1、5、6番の3作に、中国、トルコ、アメリカの現代作品を組み合わせた、彼ならではのプログラムだ。1挺のチェロとの孤独な対話が紡ぎだす、深く豊かな世界に触れることができそうだ。

欧州を代表するオケが揃い踏み

 9月はもう1回、26日に「チョン・ミョンフン指揮ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団」がある。イタリア・オペラの殿堂ミラノ・スカラ座の専属であるこのオーケストラは、コンサート活動にも力を入れ、輝かしく艶のあるカンタービレが持ち味だ。ウィーン国立歌劇場とウィーン・フィルのような関係を考えればよいだろう。指揮は、オーケストラとの関係も深い韓国の名指揮者、チョン・ミョンフン。チャイコフスキーの「悲愴」交響曲に加えて、日本だけでなく欧米での評価も高い藤田真央が登場、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番を弾くのが大きな魅力だ。

ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団

 11月6日は「クリスティアン・ティーレマン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」。トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーンなどを通じて名古屋とも縁の深いウィーン・フィルが、格別の信頼と親愛を寄せる指揮者が、ティーレマンである。シューマンの交響曲第3番「ライン」とブラームスの交響曲第4番というドイツ・ロマン派王道の2曲で、この黄金コンビを楽しもう。

左より:チョン・ミョンフン ©Silvia Lelli/藤田真央 ©Johanna Berghorn ©Sony Music Entertainment/クリスティアン・ティーレマン ©Roman Zach-Kiesling

圧巻のスケールで描く《アイーダ》

 年が変わって2026年1月18日には、大ホールで「ウクライナ国立歌劇場オペラ《アイーダ》」。壮大な歴史ロマンを彩る、美しい旋律にみちたヴェルディの名作を、国難のなかでも活動を果敢に続けるウクライナのアンサンブルが上演する。

ウクライナ国立歌劇場オペラ《アイーダ》

 ラストを飾るのは、1月23日の「ラファウ・ブレハッチ ピアノ・リサイタル」。2005年のショパン国際ピアノコンクールで、ポーランド人としてクリスチャン・ツィメルマン以来30年ぶりの優勝者となったブレハッチ。それから20年の時を経た、豊かな詩情に満ちた演奏が期待できる(曲目は後日発表)。

ラファウ・ブレハッチ ©Christoph Koestlin

 以上の公演は、単独で購入することももちろん可能だが、6公演通し券「MY SEAT」には、全公演をすべて同じ席で鑑賞し、専用入場口から入場できることなど、さまざまな特典が用意されている。

文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ2025年5月号より)

第43回 名古屋クラシックフェスティバル
2025.9/2(火)〜2026.1/23(金) 愛知県芸術劇場 コンサートホール&大ホール
5/30(金)発売(4/24〜S・A席のみ先行発売あり)
問:中京テレビクリエイション052-588-4477 
https://cte.jp/43cf/