ヴァイオリンで綴る「一日」
何ともユニークな、そして奥村愛らしいリサイタルだ。親しみやすいプログラムと自然体のトークで多くのファンを魅了する彼女が、今回のテーマに選んだのは『一日』。最新盤にも収録されているエルガー「朝の歌」で清々しく幕を開け、シュニトケやイザイの名曲を経て、ドビュッシー「美しき夕暮れ」へ。終盤には、ピアソラ「ナイトクラブ1960」などで、夜の闇と艶やかなネオンを巧みに描き出す。今回は共演のピアニストにフランス音楽に造詣の深い名手・藤井一興を迎えることもあり、ラヴェルやドビュッシーは特に楽しみな演目。また、プログラム中盤では、加藤昌則の新作「燻る煙と共に Romanza del passato」を披露するのも聴きどころだ。過去にピアニストとして奥村と度々共演し、彼女をイメージした「breezing air」も作曲している盟友が、今回はどのような作品を捧げるのか。実に興味深い。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年5月号から)
5/30(土)14:00 紀尾井ホール
問:コンサートイマジン03-3235-3777
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