井上×野田の異色タッグが巻き起こす“フィガロ旋風”
指揮者・井上道義と演出家・野田秀樹。活躍するフィールドは違えど、奇才と誰しも認める二人が、モーツァルトのオペラで初コラボする。30年近い昔、井上が野田に宛てた一通の手紙に込められた思いが、とうとう実現するというわけなのだ。
この間、二人はそれぞれの世界で押しも押されもせぬ大家となった。井上は大病からも見事に復活を遂げた。異色タッグの才気走ったアイディアの融合、そして彼らが培ってきた経験、人間としての厚みが、今回の《フィガロの結婚》にどう反映されてくるのだろうか。
キャストはナターレ・デ・カロリス(アルマヴィーヴァ伯爵)、テオドラ・ゲオルギュー(伯爵夫人)、マルテン・エンゲルチェズ(ケルビーノ)といった世界で活躍する歌手を中核に据える一方、日本の若手も積極的に起用している。しかし、井上&野田のコンビでは、通り一遍の上演で済むはずもなかろう。詳細は明らかではないが、舞台は日本に移し替えられ日本語が飛び交う箇所もあるという。その奇想天外な波瀾万丈ぶりは、それぞれの配役に割り振られた日本名からもうかがえる。フィガロは「フィガ郎」(大山大輔)、スザンナは「スザ女」(小林沙羅)、クルツィオは「狂っちゃ男」(三浦大喜)で、マルチェリーナは「マルチェ里奈」(森山京子)。これだけでも、なにやらとんでもないことが起こりそうな気配が漂ってくるではないか。
井上×野田版《フィガロ》は金沢を皮切りに、春期・秋期と合わせ、全国10都市で上演予定。2015年、日本全国に新たな“フィガロ旋風”が巻き起こる!
文:江藤光紀
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)
【春期】
5/26(火)金沢歌劇座 問:金沢芸術創造財団076-223-9898
5/30(土)・5/31(日)フェスティバルホール
問:医療法人友紘会072-621-9798(5/30)、フェスティバルホール06-6231-2221(5/31)
6/6(土)・6/7(日)兵庫県立芸術文化センター 問:0798-68-0255
6/10(水)サンポートホール高松 問:087-825-5008
6/17(水)ミューザ川崎シンフォニーホール 問:044-520-0200
【後期】東京・山形・宮城・宮崎・熊本