巨匠が描く憂愁や憧憬
近年、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(LFJ)を通じて、ジャン=クロード・ペヌティエのピアノに接する機会が増えたのは実に喜ばしいことだが、それにも増して、今年のLFJが終わった後、トッパンホールでペヌティエのリサイタルが開かれることは、さらなる喜びをもたらしてくれる。なぜなら、フォーレの夜想曲全13曲が一夜で演奏されるからだ。
ペヌティエの真摯で純度の高い演奏スタイルが、フォーレの音楽が持つ憂愁や憧憬を描くのに最適であることは想像に難くない。2013年のLFJでもペヌティエはフォーレの夜想曲全曲を演奏し、その際に「13曲すべてを弾ける機会はほとんどない。フォーレの音楽の奥深さを熱心な聴衆のみなさんと共有できてうれしい」と語っていた。今回、トッパンホールという理想的な環境で、ふたたび全曲演奏の機会を得て、ペヌティエの音楽は一段と精妙さと深みを増したものになるだろう。また、公演前日には公開マスタークラスも開催される。心に残るフォーレ体験を。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年4月号から)
リサイタル 5/8(金)19:00 トッパンホール
『若い音楽家と聴衆のための公開マスタークラス』 5/7(木)19:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
http://www.toppanhall.com/