アナと室内楽の名手たち 〜チュマチェンコ女史とともに

世代を超えての“奏でる”喜び


 アナ・チュマチェンコと言えば、ソロや室内楽で秀演を重ねて来た名ヴァイオリニストであり、今や楽壇の未来を担う第一線の奏者たちを次々に世に送り出して来た名教師でもある。その芸術に魅了され、その温かな人柄を慕う室内楽の名手たちが、開館20周年を迎えた紀尾井ホールに集結。彼女を囲んで、親密で上質なアンサンブルを紡ぎ上げる。
 イタリア・パドヴァでウクライナ人の両親のもとに生まれ、レオポルド・アウアーの高弟だった父親から、ヴァイオリンの手ほどきを受けたチュマチェンコ。ヨーゼフ・シゲティやユーディ・メニューインらの薫陶を受け、カール・フレッシュ・コンクールを制したのをはじめ、数々の登竜門で実績を残した。
 ソリストのほか、ミュンヘン弦楽トリオのメンバーとしても活躍。1990年からはミュンヘン音楽・演劇大学の教授に就任。ユリア・フィッシャーやアラベラ・美歩・シュタインバッハ―、玉井菜採ら一線で活躍するヴァイオリニストを育て上げ、エリザベート王妃国際音楽コンクールなどの審査員も務めている。
 “アナと名手たち”のステージでは、まず菊池洋子(ピアノ)や鈴木学(ヴィオラ)、中木健二(チェロ)と共に、モーツァルトのピアノ四重奏曲第2番を。そして、鈴木と中木に、池松宏(コントラバス)、齋藤雄介(クラリネット)、福士マリ子(ファゴット)、福川伸陽(ホルン)が加わり、ベートーヴェンの七重奏曲を披露する。美しい音色と緻密なアンサンブルのみならず、“奏でる喜び”も存分に味わえよう。
文:笹田和人
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年4月号から)

4/27(月)19:00 紀尾井ホール
問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061
http://www.kioi-hall.or.jp