完全版『マリア・カラス 伝説のオペラ座ライブ』

スクリーンで甦る絶頂期のカラスの名唱

 53歳の早すぎる死から37年を経てもなお、オペラ・ファンの心を捉えて離さない不世出のソプラノ、マリア・カラス。2014年も、正規のスタジオ録音盤全てのリマスター販売や日本単独で代表的名盤のSACD盤リリースなどの新企画が話題を呼び、その人気が未だ健在であることを示したが、今年はあの伝説のパリ・オペラ座ライブが、全国主要都市のスクリーンで上映される。
 実に世界初の劇場公開となる本作は、1958年にカラスが満を持してパリ・デビューを飾ったガラ・コンサートの模様を、序曲演奏なども含めて完全収録したもの。前半はベッリーニの《ノルマ》やヴェルディの《イル・トロヴァトーレ》、ロッシーニの《セビリャの理髪師》など、彼女が得意とするアリアが盛り沢山の鉄板プログラム。そして後半には最高の当たり役として各国の歌劇場で絶賛されていたプッチーニの《トスカ》から、ドラマティックな第2幕を名バリトンのティト・ゴッビらの豪華共演で舞台上演したものが登場。つまりこれは、伝説のディーヴァ最盛期の10年間が凝縮された、歌と演技の全てを現代に伝える極めて貴重な映像に他ならない。しかも客席にはブリジット・バルドーやイブ・モンタン、そしてチャーリー・チャップリンら錚々たるセレブが列席。カラスが身につけるヴァン・クリーフ&アーペル提供のネックレスや、当時のガルニエ宮を飾っていた初代の天上画「夜と朝の女神たち」など思わぬ見どころも満載。映画館でゴージャスなオペラ体験ができる夢のひとときを!
文:東端哲也
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)

3/21(土・祝)〜 渋谷・シネマライズ
3/28(土)〜 名古屋・名演小劇場
4/18(土)〜福岡・中洲大洋映画劇場
5/9(土)〜大阪・テアトル梅田
問:樂画会(がくがかい)チケットデスク0120-954-618 
http://callas1958.com